赤穂雷太

青山学院大4年の赤穂雷太は、2019-20シーズンに横浜ビー・コルセアーズに特別指定として加入し、9試合に出場した。いきなり平均プレータイム13.0分を得て、4.7得点、1.3リバウンドとプロの世界でも存在感を発揮した。そんな赤穂が大学バスケ部を退部し、千葉ジェッツでプロ選手として歩むことを決断。千葉へ入団することになった経緯やプロ1年目の意気込みを語った。

「結果を残して青学を選んだことが間違っていなかったと証明したい」

──青学のバスケ部を退部して、千葉ジェッツとプロ契約を結ぶことになりました。まずはその経緯を教えてください。

3年生のトーナメントが終わった頃から、Bリーグに挑戦するのか、大学のバスケ部に残るのかを考えていました。その上で昨シーズンは横浜の特別指定選手としてBリーグを経験させてもらって、やっぱり上のリーグに挑戦したいと思ったんです。競技人生は限られていますし、自分が成長するためにもBリーグに早く挑戦した方が良いと考えて、プロを選びました。

──赤穂選手と同じように学生のうちからプロに進む選手もいますが、誰かに相談しましたか?

琉球に行った(ナナーダニエル)弾さんには相談しましたね。あとは、中村太地さんにも大学バスケを辞めてプロに行った時のことを聞いたりしました。

──もう大学バスケ部に戻ることはできませんが、やり残したことはないですか?

大学を選ぶ時に前ヘッドコーチの廣瀬(昌也)さんが、上のポジションでやらせてくれると言ってくれたので青学を選びました。入学する時も廣瀬さんを日本一にさせるつもりで入ったんですが、1回も優勝することができなかったので、そこの部分では悔しい気持ちはあります。でも廣瀬さんあっての今の自分なので、プロでしっかり結果を残して僕が青学を選んだことが間違っていなかったと証明したいですし、それが恩返しになるとも思っています。

ここからは本当に実力勝負の世界で、ダメだったらいつ職を失うかも分からないので覚悟もできています。そういった部分も含めてしっかりやっていきたいです。

──今回、千葉ジェッツを選んだ理由を教えてください。

昨シーズンの特別指定の時は、試合に出ることで分かる部分が大きいと思い、プレータイムを重視して横浜に入りました。今も試合に出ることは大切だと思っていますし、試合に出て評価されることも分かっています。ただ、競争の激しいチームでプレータイムを勝ち取ればそれだけ評価も上がります。それに試合数は1シーズン60試合と限られていますが、練習時間は限られていないし、もっと長いですよね。なので日頃から質が高いところで練習したいと思ったので、一番の決め手は自分がより成長できる環境が千葉にはあると思ったからです。

赤穂雷太

「プレータイムを得られれば、自然と新人王も見えてくる」

──プロ1年目から強豪の千葉に加入することになりますが、不安はありますか?

やっぱり不安はありますし、これで試合に出られなかったら意味がないと思います。何としてもまずは千葉でプレータイムを勝ち取らなければという思いです。それに勝ち取れなかったら、それだけの実力だったということなので。ここでプレータイムを得られなければ、今後もっと上を目指すこともできないと思っているので、覚悟を持って挑みます。

──千葉では2、3番でプレーすることになると思いますが、新加入の選手もいて層が厚いです。赤穂選手のアピールポイントはどこでしょうか?

チームからはディフェンスで貢献してほしいと言われていて、あとはこの身長で動ける部分を期待されています。僕自身もディフェンスやリバウンド、トランジションで先頭を走るような選手だと思っています。今はアウトサイドシュートが僕の課題なので、その確率をもっと上げて信頼される選手になりたいです。そうすれば自ずとプレータイムも増えると思っています。

──高校時代にはポイントガードもしていましたが、いずれはポイントガードをしたい気持ちはありますか?

正直やりたい気持ちもあります。ただ、高校での経験があったからこそ今の自分のプレースタイルもあると思うので、チームから求められたポジションをしっかりとやるのみですね。

──昨シーズンは横浜で9試合に出場して平均4.7得点、1.3リバウンドを記録しました。途中合流でこれだけスタッツを残したわけですから、「Bリーグでも通用する」と感じたファンも多いと思います。

確かにシュートタッチが良かった時は、自分でもやっていけるなという自信がつきました。でも、水曜ナイトゲームがあると週3で試合があって、終わってもまたすぐに試合が来る感じで、ダメだった時の気持ちの切り替えが難しかったです。なので、Bリーグでもイケるという手応えもありましたが、まだまだだなという気持ちの方が強かったですね。

──プロ1年目の目標を教えてください。

チーム内でプレータイムを勝ち取って試合に出ることです。プレータイムを得られれば、自然と新人王も見えてくると思います。千葉はチーム内競争自体のレベルが高いので、新人だからといって遠慮するのではなく、誰にも負けないようにして、プレータイムを勝ち取ることが目標です。

──2019-20シーズンの新人王は青学の先輩、前田悟選手が受賞しました。前田選手とは連絡を取ったりしますか?

よくしゃべりますよ(笑)。仲も良くてしょっちゅうご飯にも行っていました。それこそBリーグに来る時には悟さんにも相談しましたね。悟さんは「一緒にまたプレーしたい」みたいなことを言ってくれていて。僕も一緒にやりたい気持ちもありますけど、どちらかと言うと試合で戦いたい気持ちの方が強いです。大学の時からずっとマッチアップしていてバチバチにやり合っていたので。でも、同じチームでまた一緒にやりたい気もしてきました(笑)。

──前田選手が新人王を受賞すると思っていましたか?

シーズン序盤の頃の試合を見ていて、「悟さん、行けるな」とは思っていました(笑)。

──これまでの新人王は、東海、筑波、拓殖、青学と来ましたが、赤穂選手が新人王を獲得すれば青学の2連覇になりますね。

続けられれば最高ですよね(笑)。頑張ります。

赤穂雷太

「単位に関しては本当に神に祈るのみです(笑)」

──今日はこの取材の後、大学のオンライン授業があると聞いています。この1年間は学業とプロの両立になりますが、単位はどうですか?

あと少し残っているんですけど、前期で全部取り終える予定です。ただ、オンライン授業自体が初めてのことなので、ちょっとどうなるか分からないですね。単位に関しては本当に神に祈るのみです(笑)。

──そこは神のお力を借りるんですね(笑)。

やることをやるのみですが、後期にバスケットに集中できる環境を作るためにも、神様にお願いしています(笑)。

──赤穂選手のTwitterを見ていると野球関係のツイートが多いですよね。好きな選手はいますか?

基本、阪神の選手だったらみんな好きです。僕は阪神ファンで、優勝してくれれば僕のモチベーションもすごく上がるので(笑)、優勝してほしいです。

──取材を始めて20分ほど経ちますが、今が一番良い顔していますね(笑)。ひまわり選手とは双子だから当たり前かもしれませんが、こういった取材の受け答えも似ている気がします。

確かにひまわりとはテンションも似ていますね(笑)。プレースタイルも何でか分からないけど似ているんですよ。あと、母親から突然「今、体調悪くない?」みたいな連絡が来ることがあって。そういう時って熱はなくてもちょっと風邪気味だったりして「悪いよ。何で?」と聞くと、「ひまわりが風邪引いているから」って。一緒に住んでないのに、片方が体調悪くなると、もう一人も悪くなることが高校生ぐらいまでは結構ありましたね。

──それはすごいですね。ひまわり選手は日本代表でも結果を残してきていますが、雷太選手にとってライバル的存在ですか?

ライバルなのかは分からないけど、頑張ってほしいです。ただ、仕方がないなとは思うんですけど、最近ちょっと上から言ってくるんですよね(笑)。僕もひまわりに負けないように、しっかり結果を残したいです。

──それでは最後に千葉のファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

高校からお世話になっている千葉県でもう一度プレーできることは、とてもうれしいです。大きく成長させてもらった千葉県でもう一度、自分自身成長できるようにルーキーらしく精一杯頑張っていくので、応援よろしくお願いします。