グレッグ・ポポビッチ

フロイド事件に声を詰まらせ「こんなことがまかり通るのは恥」

5月25日にミネアポリスで起こったアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド死亡事件以降、人種差別問題に対する抗議デモの輪は世界中に広がっている。NBA選手、関係者がそれぞれ意見を表明する中、スパーズの指揮官グレッグ・ポポビッチも声を上げた。

スパーズが公開した動画で、ポポビッチは「我々の国は、困難な状況に直面している。その根本的な理由は、人種にある」と語る。フロイド事件を映像で見たというポポビッチは「こんなことがまかり通るなど、白人として恥ずかしい」と声を詰まらせ、「我々白人こそが、権力に物を言うべきだ」と主張した。

「おかしな話だが、今回の悲劇から得た最大の教訓は、例の警察官の表情にあると私は思う。白人が平然と自分の仕事をこなしているかのようにして、左手をポケットに入れ、膝を押し付けるようにして被害者に何かを教えようとしている。この警察官は、それが自分の責務だと思っていたのだろう」

「私には理解できない。こんなことがまかり通るなど、白人として恥ずかしい。絞首刑の瞬間を目の当たりにしたんだ。黒人が木から吊るされた絵を本では見たことがある。それを目にすれば、非常にショックを受けるだろう。同じような場面を目撃してしまった。こんな事態を実際に自分の目で見ることになるなんて、一度だって想像したことがない」

「極端に政治的な発言をしないまでも、これまでだって何度となく警告のサインはあった。我々の国は、困難な状況に直面している。その根本的な理由は、人種にある」

「黒人は、400年あまり苦しみを抱えて生きてきた。この国家が繁栄できた唯一の理由は、黒人の努力、根気、辛抱強さにある。我々の国の歴史の始まりは、あらゆる面において偽りで構成されている。その嘘を、黒人や褐色人種が真実のようにしている。権利や特権は、人種によって欲しいままになっている。だからこそ、我々が権力に向かって物を言うべきと私は考える。どういう結末になろうとも、声を上げないといけない。発言しないといけない。そのままの状態にしていてはいけないんだ」