ケビン・ラブ

「これはみんなが抱えている不安や疑念と決別するチャンス」

新型コロナウイルスの感染拡大によりNBAの2019-20シーズンが中断されて以降、キャバリアーズのケビン・ラブは声を上げ続けている。

彼は、シーズン中断後すぐにホームアリーナで働くスタッフのために10万ドル(約1070万円)の寄付を実行し、NBAスター選手にも「今こそNBA選手がアスリート以上の存在になる時」と訴えかけるなど、強いリーダーシップを発揮している。

NBAのシーズン再開も現実的に考えられるようになった今、ラブはこれからの世界を担う若者にもエールを送っている。2020年に学校を卒業する学生に向けて『Verizon』が企画した『Ready for Anything』に加わったラブは、リモート環境でのスピーチを引き受けた。ラブは、自身の経験を踏まえ、若者に夢を持つこと、夢を言葉にすることの大切さを説いた。

スピーチの冒頭で「君たちは自分の物語を綴る準備を整えているだろうか?自分で道を決めるか、それとも他者に筆を取らせて自分の物語を書いてもらうつもりなのだろうか?」と、語りかけたラブは、高校最終学年の時に受けた『USA Today』の取材を例に挙げた。当時のラブは、『10年後の自分』というテーマについて応じ、NBA選手になっていること、NBAで優勝していると答えた。記者が冷たい反応を示したのを覚えていたラブは、家族と友人との時間、学校行事などを犠牲にしてでも自分の目標を達成するために努力し続け夢を叶えた。

彼は、2020年の卒業生たちに「君たちにとっての一番星を見つけよう」と、優しい口調ながらも力強く訴えかけた。

「自分が情熱を注げるものを見つけよう。途方もない夢だって構わない。自分の話を聞いてくれる人の前で、言葉にしてみるんだ。僕は、『言葉にしないことは実現しない』と思っている。自分の夢や目標は言葉にした方が良い。でも、目標や夢は明確なものである必要がある。ハッキリした目標がなければ、曇ったガラスを見ているようなもの。曇った状態では、何もできない」

「目標にたどり着く方法は無限に存在する」とも話したラブは、現在の状況に学生が不安を感じていることを理解しつつ、「恐れず前に進むこと」をこれからの世代に推奨した。

「この未曾有の事態で何も変わらなかったら、僕たちは学んでいないのと一緒。この状況に感謝し、今の状況を生かす必要がある。今の状況によって、僕たちは人生がどれほど儚いものなのかをあらためて実感している」

「これはみんなが抱えている不安や疑念と決別するチャンス。夢を見るなら、より大きな夢を見よう。これまでとは違った物語を書いてみよう。君たちのような経験をしている世代は少ないんだ。この機会を生かせるかは、君たち一人一人にかかっているんだ」