マイケル・ジョーダン

「5人で配達した」というトレーナーの証言も否定

マイケル・ジョーダンと1997-98シーズンのブルズに迫ったドキュメンタリー作品『The Last Dance』は、5月17日に最終話が配信された。エピソード9では、1997年のNBAファイナル第5戦、通称『インフルエンザ・ゲーム』について触れられている。

2勝2敗で迎えた第5戦、ブルズはジャズの本拠地ソルトレイクシティに乗り込んだ。その前夜、ジョーダンは宿泊先のホテルからピザのデリバリーを注文し、1枚すべてを平らげた。そこから体調が急変し、インフルエンザのような症状に苦しんだ。最悪のコンディションで迎えた試合だったが、ジョーダンは44分プレーし38得点の大活躍で勝利に貢献した。

『The Last Dance』では、試合前夜に注文したピザに何かが混入されていたのではないか、という陰謀説をジョーダンとその取り巻きが主張している。ピザが届けられた時にジョーダンの部屋にいたパーソナルトレーナーのティム・グローバーは、「ただのピザの配達に5人もいた」と証言している。

だが、この説を否定する人物が現れた。それは、ジョーダンが注文したピザをホテルまで届けた張本人だ。クレイグ・ファイトと名乗る人物は、ポッドキャスト番組『The Big Show』に出演し、店のマニュアル通りにピザを調理したこと、そして自らホテルまで届けたことを明かした。

「あの店で働いていたスタッフの中で、僕だけがブルズのファンだった。それで『この注文はブルズ関係者によるものだろう。もしかしたら選手かもしれない』と言われた。あの時期は、アシスタントマネージャーとして採用されてから3、4週間しか経っていない頃で、『俺が作る。誰にも触らせない』と言ったのを覚えている」

彼はグローバーの証言についても触れ「5人もいたなんていう話はデタラメだ。2人で届けた。あの時間は、従業員の数が少なかったんだ。ホテルの前にはパトカーがいて、中に入るには身分を証明しないといけなかった。我々はユニフォーム姿だったから、どこの誰かは明らかだった」とコメント。

そして、問題のピザについてはこう主張する。「ピザで食中毒になるなんて、何かを混入させない限りは考えられない。僕以外には誰も触れていないので、その可能性はないよ。当時は店のマネージャーに自分をアピールしたい時期だったから、マニュアルに沿ってピザを調理した。ルール通りに作られたピザだよ」

当時のブルズを取り巻く状況、打倒ブルズに燃えるソルトレイクシティの熱気を考えれば、陰謀説を疑いたくなるのも無理はない。いずれにしても、最悪の体調で大一番に臨み、素晴らしいパフォーマンスをしたジョーダンが、超がつくほどのトップアスリートだったことに変わりはない。