ラリー・ナンスJr.

「これだけ長くバスケから離れたことはなかった」

NBAの各チームは、シーズン再開に向けて個人練習を段階的に再開し始めている。いまだチーム練習は実施されず、あくまで個人のワークアウトに限られているが、フロアにバスケットボールの音が響く日々は戻りつつある。シーズンが再開されるかどうか、また再開するにしてもどのような形になるかは見えてこないが、『その時』に備えて選手たちは動き始めた。

キャバリアーズのラリー・ナンスJr.は、新型コロナウイルスにとても敏感だった。彼はもともと消化器官に炎症を起こす疾患を抱えており、新型コロナウイルスに感染すれば一般の人よりも重篤化リスクが高い。だからこそアメリカで感染が拡大し始めた時点で、彼はファンへサインするためのペンを自分で持ち歩くようになり、握手の代わりに肘を突き合わせる予防策を取っていた。

ナンスJr.は『Cleveland.com』の取材に対して「レストランが営業を再開しても、しばらくは行かないだろうね。安全がしっかりと確認されない限りは、自分で試す気にはなれない」と答える。

それでも個人練習の再開が認められるとすぐ、彼は練習場へとやって来たし、シーズン再開についても肯定的な意見を持っている。キャブズはここまで19勝46敗で東カンファレンス最下位。シーズン再開から遠からずしてプレーオフ進出の可能性は潰えるだろう。それでも彼がシーズン再開を望む理由を「バスケットボールが好きだからさ」と語る。

「プレーオフに行ければ理想だけど、そうじゃなくても試合をしたい気持ちは変わらない。まずは試合をしたいという情熱が理由であり、その次には試合がないことで出てくる経済的な問題のこともある。多くの人にとってお金は重要だからね。ただ、やっぱり僕らは試合をして、シーズンをきっちり終えたいんだ。これだけ長くバスケットボールから離れたことはなかった。試合をやって勝ちたいけど、それが僕たちでなくても誰かが勝つのを見たい」

まだ見えないシーズン再開を意識しながら、ナンスJr.は個人練習でコンディションを高めようとしている。「自宅から出られない間はストレングスコーチやトレーナーがオンラインで何をすべきか教えてくれたけど、一人で追い込むのは難しい。誰かと一緒に競うのに慣れていたからね。だから練習場でボールを持つだけで落ち着くよ」

安全な試合運営が保障されれば、選手たちはコートに戻って来る。ナンスJr.もリスクを承知しながら、シーズン再開を待っている。