佐々木クリスと学ぶ『バスケ観戦術UP講座』Lesson1

2016/07/15
その他
4388

こんにちは、佐々木クリスです。ここではバスケをもっと楽しむための「観戦術」を一緒に学んでいきたいと思います。難しい戦術論をするつもりはありません。日本人なら大多数の人が、体育の授業でバスケをプレーした経験があるはずです。つまり、基本的なルールは誰でも知っているということ。ただ、その基本ルールに「観戦の知識」を少しだけ加えることで、バスケ観戦はずっと楽しくなるはずです。バスケをもっと楽しむための「観戦術」を、是非ここで覚えていってください。

佐々木クリスと学ぶ『バスケ観戦術UP講座』
vol.1 バスケはポゼッションゲームだ/ライブ・ターンオーバーに注目
vol.2 軽視できないフリースロー/ボックススコアはこう見る!
vol.3 クォーターの入り方に注目しよう/試合のテンポも駆け引きだ
vol.4 ディフェンスは見どころの宝庫/シュートを打たせない技術
vol.5 3ポイントシュートはどう防ぐ?/基本の連携プレー、スクリーン
vol.6 各ポジションの役割と見どころを解説


バスケはポゼッションゲームだ

バスケの試合を見る際に、一番気にする数字はどれでしょう。スコア、つまり両チームの得点ですね。もちろんリードしている側が有利だし、点差が開けば開くほど勝利に近付いているのですが、スコア以外の部分で「どちらのチームがどれぐらい優勢なのか」に注目することで、試合はもっと楽しくなります。結果ではなく内容にも目を向ける、ということです。

バスケットボールはポゼッションゲームと言われています。ポゼッションとはボールの保有権。保有権が増えれば自ずとシュートの回数も増えます。シュートを決める能力が等しい2チームが対戦すれば、多くシュートを放ったチームが勝つと言えるでしょう。

フィールドゴール率、これは放ったシュートが決まる割合を示す数値です。40%のチームより50%のチームのほうが優れているのは明らかですね。でも、50%のチームは1試合を通じて30回しかシュートを打っていないのに、40%のチームは40回ものチャンスがあったとしたら? こうして40%のチームが勝つことは、バスケではよくあることです。

攻撃機会を増やす、これはつまり「試合の主導権を握る」ということです。そのためにポイントとなるのは、リバウンドやルーズボールをどれだけマイボールにできているか。どちらのボールになるか分からない状況に対して、チームとしてどれだけ反応できるか、そして個人だけでなくチームとしてハードワークができているか。これは選手たちの集中力や気迫のバロメーターです。高度な知識がなくても試合を見ていれば比較的簡単に分かる部分なので、初心者の人はここに注目してみてください。

ライブ・ターンオーバーに注目

得点はバスケで一番分かりやすいシーンなので、誰もが注目します。でも、リバウンドにも注目してみてください。リバウンドには、オフェンスリバウンドとディフェンスリバウンドがあります。このうち、オフェンスリバウンドは確実にチームにプラスになります。シュートを放ってオフェンスが終わった直後にまた次の攻撃機会を得られる。つまり相手に攻撃機会を与えていないので、ポゼッションゲームの中ではすごく価値のあるものになります。

同じように、相手にボールを与えてしまうターンオーバーと呼ばれるミスをしていないか。逆の見方をすれば「相手のミスを誘えているか」と言い換えることもできます。バスケットボールは攻守の切り替えが激しいスポーツで、ミスは相手の得点に繋がることが多いです。ターンオーバーの中でも、相手に直接ボールを奪われたり、パスミスで相手にボールが渡ってしまうと、相手は即座に攻撃に転換して速攻を展開します。

速攻ではリングに近い高確率なシュートに繋がることが多いです。プレーが中断しない種類のターンオーバーは「ライブ・ターンオーバー」と呼ばれ、最大で±6点分のインパクトがあるので、そういった観点からはリバウンド以上の影響力があります。

もう一つは「デッド・ターンオーバー」。これはトラベリングなどに代表されるヴァイオレーションや、パスミスでボールがラインより外に出たりして、笛が鳴らされ時計も止まるため「デッド」と呼ばれます。たとえ数秒であれミスしたチームも守備を整える猶予があるので、ライブ・ターンオーバーほどのインパクトはありません。ですが、相手に攻撃機会を譲り渡している点に変わりはありません。

ライブ・ターンオーバーを2つ連続で誘い、いずれも得点に結び付けられれば、チームは一気に勢い付き、あっという間に2桁のリードに繋がったりします。そんな場面になれば会場も大盛り上がりで、試合の流れが大きく動いているのが感じられるはずです。

PROFILE 佐々木クリス(ささき・くりす)
1980年12月24日ニューヨーク生まれ。青山学院大時代にインカレ優勝、ストリートバスケを経て千葉ジェッツの一員としてbjリーグでもプレー。現在はNBAアナリストとしてWOWOWのNBA中継に欠かせない存在となっている。