金丸晃輔

久しぶりの合宿、強度の高さに困惑

「過密日程もそうですが、強度もスゴいしマジでキツイですよ」

そう苦笑いを浮かべたのは、バスケットボール男子日本代表候補の金丸晃輔だ。チームはアジアカップ予選に向けて強化合宿の真っ最中。金丸は練習の強度や選手の意識の高さに面食らったという。

「雰囲気も全然違いますね。みんな必死にやっていて、自然と激しさが生まれてそれがコートでぶつかり合っている感じです。久しぶりに来た代表で『すげえな』って。それに飲まれないように頑張っています」

「最初に呼ばれて以来だったので、4年ぶりくらいですかね」と語るように、金丸が合宿に参加するのは久しぶりだ。実際には2017年の秋、ワールドカップアジア予選の予備登録メンバー(24名)に選ばれたのが最後。そこで最終ロスターに残ることはなく、その後は合宿への招集もなかった。

今回の参加メンバーはワールドカップを経験している選手が多く、フリオ・ラマスヘッドコーチのスタイルを理解している。当然、久しぶりの招集となった金丸にその理解はなく「代表のバスケを理解することが一番」と、代表のバスケへのアジャストに四苦八苦している。

「ほぼ初参加みたいな感じなので、どういうバスケをやっていくか僕自身まだ理解してないです。常連の選手たちはある程度分かった感じでやっているので、無駄な動きがなく、落ち着いてスマートにやってるイメージ。僕はまだちょっと(笑)」

金丸晃輔

「タフショットに見られて」落選した過去

久しぶりの合宿参加となった金丸だが、初めて招集された合宿で言われたラマスヘッドコーチの言葉を鮮明に覚えているという。

「1回目に落とされた時にいまだに記憶に残っているのが、シュートに行くまでの過程が早いと言われたことです。僕の中ではタフショットじゃないけどタフショットに見られて、それで落とされました。その中でこれは行って良いのか、ダメなのかという迷いがまだありますね」

確かに、金丸のシュートセレクションは一見すると難しい態勢で『打たされている』ように映ることもある。それでも、Bリーグでの今シーズンここまで1試合平均13.5得点を挙げている彼にとって、それはタフショットではなく自分の形なのだ。

だが指揮官がそう言う以上はその評価を覆す必要があり、金丸はラマスヘッドコーチの言葉を深く理解しようと努力している。「もっとパスを回して、時間を使ってということだと思うんです。周りに良い選手がいるから無理に行くのではなく、次のチャンスを探してできるだけノーマークを作るようにやったほうが良いと言われたので」

アタックとパスアウトを繰り返し、ノーマークを作ることは理想的だ。それでも特に世界と対戦する試合でノーマークを作るのは簡単ではない。最終的に個の力が勝負を分ける要素となることが多い。

「価値観の違いですかね?」と困惑する金丸だが、しばしば『変態的』と称されるほどのシュート力を持つだけに、この問題さえクリアできれば日の丸を背負う可能性は十分にあるはずだ。

金丸晃輔

チャンスを与えられ「感謝の気持ちのほうが大きい」

これまでに最終メンバーに残ることはなかった金丸だが、決して構想外だったわけではない。コンディションの問題でタイミングが合わなかったことが大きく関係しているようだ。現在も「最近ぎっくり腰になったし、アキレス腱も痛いです。ケアして、トレーニングしてギリギリの状態です」と、コンディションに不安を抱えている。だからこそ「また呼んでくれて、感謝の気持ちのほうが大きい」と金丸は言う。

これまでのように身体のケアを優先し、代表活動を断る選択肢もあったはず。それでも合宿に馳せ参じるのは、クールな金丸であっても東京オリンピックには強い思いを抱いているからだ。

「ふと思ったんですけど、年齢が上から2番目なんですよね。当時は下のほうだったので、行かない間に下が増えたなって。だいぶ出遅れていますし時間もないですけど、オリンピックは一生に一度なので。当然出たいですし、頑張ります」

チャイニーズタイペイとの初戦は2月24日。代表のバスケを理解して迷いを吹っ切った金丸が日の丸を背負う姿を見てみたいものだ。