ライアン・ロシター

「勝つために自信がいかに大事か」を語る

「練習はこれで5日目。新しいチームだからオフェンス、ディフェンスともに質を高めることにフォーカスしたい。自分たちのベストなプレーを見せたい」

そう語るのは昨年12月に日本国籍を取得して、すぐに代表招集を受けたライアン・ロシターだ。2013年に来日して、宇都宮ブレックス一筋でプレー。日本での暮らしはもう8年目となった。2年前、日本国籍の取得に動き始めた時点で、当然ながら日本代表入りの意識はあっただろう。「ブレックス以外のウェアを着るのは日本では初めてで、すごく新鮮だ。みんなにも似合うと言われたのでうれしい」と笑みを見せる。

ロシターの持ち味はディフェンスとリバウンドで、宇都宮のスタイルであるハードワークを体現している。メディアに公開された練習でも、他のビッグマンとの激しいフィジカルのぶつかり合いを当たり前のように繰り広げていた。日本代表の練習を「内容の質が高く、選手同士の競争のレベルも高い」と評価するとともに、「リーダーシップとエナジーレベルで、自分が背中でチームのインテンシティレベルを引っ張って行きたい」と、早くもリーダーシップを発揮するつもりでいる。

そういう意味では、ロシターの最大の貢献はリーダーシップになるのかもしれない。宇都宮の試合、勝負どころのタイムアウトで誰よりもたくさんの言葉を発しているのはロシターだ。ヘッドコーチよりもキャプテンよりも、これまで外国籍選手だった彼がプレーで示すだけでなく言葉でも仲間を発奮させ、一つの方向へとまとめていた。普段はクールでも、試合となれば勝利への欲求を誰よりもストレートに表現するし、周りを巻き込む影響力も備えている。

「僕はコミュニケーションを取るのが得意。代表活動は短期間なので、なるべく率先してチームメートとコミュニケーションを取って絆を深めていきたい」とロシターは語る。彼の勝利への強い意志とリーダーシップは、チームミーティングの場で「勝つために自信がいかに大事か」を語ることで早速発揮されたそうだ。

ライアン・ロシター

「自分たちのベストなプレーを見せたい」

代表チームにおいて帰化選手の登録枠はわずかに1。日本代表をワールドカップに導いたニック・ファジーカスは得点力でBリーグで頭一つ抜けた存在であり、ロシターと同時期に日本国籍を取得したギャビン・エドワーズはランニングプレーが得意でトランジションバスケットにフィットできる選手。ロシターは彼らと1つの枠を争うことになるが、「決めるのはコーチ陣だから、自分がコントロールできることに100%集中したい」と関心がなさそうだ。

本心はどうであれ、自分のプレーを日本代表のスタイルにフィットさせ、なおかつ100%発揮することが優先なのは間違いない。「強みであるトランジションのスピードをもっと出せるようにコンディショニングを整えて、ディフェンスのハードさには自信があるのでもっと良くしていく」と、ロシターはこちらに集中している。

「基本的なスペーシングだったり、大事にするところはブレックスと変わらない。同じコールでプレーが全く違うことがあるので、そこはアジャストしないといけないけど、時間が解決してくれる」とロシターは言う。今回の代表選手たちはチームは違えどBリーグで日頃から戦い、熟知している相手。バスケットIQの高いロシターに順応の不安はなさそうだ。

「Bリーグでいつも戦っている選手とはやっているうちに顔見知りになる。そういったメンバーと一緒に未知な相手と戦うのはすごくエキサイティングだ」とロシターは意欲を燃やす。いまだ選手選考の過程ではあるが、ロシターは来るべき日本代表デビュー戦を心待ちにしている。