文=丸山素行 写真=FIBA.com、JBA

ツーガード起用で粘りを見せるも相手が上回る

女子アジアカップ、開幕からフィリピンと韓国に連勝した日本はグループリーグの首位通過を懸けて同じく2連勝のオーストラリアと対戦した。

序盤は互いに攻めどころを潰す重い展開に。ディフェンスでは体格で勝るオーストラリアを相手にも我慢強く身体を当ててイージーシュートを打たせない。だが攻撃に転じると速攻を警戒するオーストラリアの戻りが早く、得意の形が出させずリズムに乗れないでいた。

第1クォーターこそ15-14とリードしたが、第2クォーターの開始2分半で0-7と突き放される。タイムアウトを要求したトム・ホーバスヘッドコーチから「この2分半ボロボロ、チームバスケットをやっていないよ」との喝が入り、日本が立ち直る。

吉田亜沙美に代わって入った藤岡麻菜美が流れを変えた。タイムアウト明けに高速ドライブからの得点で悪い流れを断ち切ると、これまで決まっていなかったピック&ロールからの得点も生まれた。だがオーストラリアの高さの利を生かしたチームプレーを止められず、30-34とビハインドを背負って前半を終える。

後半に入ると、流れは再びオーストラリアへ。ダブルチームをギリギリでかわされ、逆にノーマークを作られて失点を重ねた。ディフェンスからリズムが作れない日本はオフェンスでも乗れず、シュートの精度が上がってこない。

連続3ポイントシュートを許し、32-44と点差が広がったところでトムコーチはタイムアウトを取った。第2クォーターと同様に「アグレッシブに走って走って」と檄を飛ばす。ここで韓国戦で機能した藤岡と町田瑠唯のツーガードを起用。藤岡のアグレッシブなペネトレイトが効果的に決まり、町田、宮澤夕貴の3ポイントシュートで息を吹き返した。

それでも、オーストラリアの速攻対策を打ち破ることができず。その間にオーストラリアのシュート精度が次第に上がり、点差を詰められないまま、試合は終盤に突入した。

日本の堅守を上回ったボール回しと3ポイントシュート

50-59とビハインドを背負って最終クォーターを迎えた日本は、またしても出鼻をくじかれる。最初のポゼッションで素早いボール回しから3ポイントシュートを許し、これで点差は2桁に。日本はアグレッシブなディフェンスで相手にプレッシャーをかけ続けるのだが、ここで際立ったのはオーストラリアの個の強さだった。手を伸ばしてプレッシャーをかけても、ギリギリのところでパスをつながれ、シュートに持ち込まれる。苦し紛れのパスでも最終的にはマークを外され、高確率でシュートを決められた。

我慢の糸が切れてもおかしくない状況ではあったが、宮澤の3ポイントシュートや藤岡のドライブで得点し、日本は粘り強く食らい付く。残り4分を切り、宮澤がフリースローを2本沈めて66-72。2ポゼッション差まで詰め寄るが、結果から言えばこれ以上点差が詰まることはなかった。

日本は最後までアグレッシブにディフェンスし、ショットクロックギリギリまでプレッシャーを与えるも、オーストラリアはそれを上回り、順調に得点を伸ばしていく。残り51秒、藤岡が強引なシュートをねじ込み6点差としたが、反撃もここまで。74-83で敗北した。

「日本は絶対にヘッドダウンをしません」

日本の6本の3ポイントシュート(27.3%)に対し、オーストラリアは12本の3ポイントシュートを60%という超高確率で決めてきた。だがそれ以上に、堅守から走る日本のトランジションを封じられたのが痛かった。1試合を通し日本の速攻からの得点はわずかに2点。

藤岡が18得点10アシストのダブル・ダブルを記録したことは大きな収穫。またゲームハイの19得点を挙げた宮澤の活躍も特筆に値する。3本の3ポイントシュートを沈め、6リバウンド2ブロックと攻守に存在感を見せた。

ホーバスヘッドコーチは試合をこう振り返る。「前半は重いハーフコートゲームになり、相手のペースでした。最終的に試合には負けましたが、後半は最後まで日本のパワーを出したと思います。日本は絶対にヘッドダウンをしません。残り2、3分を切ったところで、相手のシュートが1本落ちれば日本にもチャンスがあったと思いますが、シュートを確率良く決めてきたので、そこは相手がすごかったと思います」

2勝1敗でグループBの2位となった日本は、準々決勝でチャイニーズ・タイペイと対戦することに。この試合に勝てばワールドカップの出場権が得られ、順当に行けば、準決勝で中国、決勝はオーストラリアと再戦する可能性が高い。今日の反省を生かし、ワールドカップの切符をつかむとともに、連覇を成し遂げてほしい。