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ウェストブルックとの強力デュオがハマれば残留の可能性も

今オフ中のトレードが確実視されていたポール・ジョージの行き先が決まった。

6月30日、ペイサーズは、ビクター・オラディポとドマンタス・サボニスとの交換により、ジョージをサンダーにトレードすると『ESPN』が伝えた。

キャバリアーズ、セルティックスへのトレードも噂されていたが、ペイサーズは東カンファレンスのライバルチームへの放出ではなく、西カンファレンスに所属するサンダーとのトレードを選択。交換条件で獲得するオラディポは、昨シーズンのサンダーで2位の平均15.9得点を記録した選手で、身体能力に優れている。サボニスは来シーズンが2年目の若手だが、まだ21歳で今後の成長が期待される。

2017年のシーズンMVPを受賞したラッセル・ウェストブルックとの強力デュオ誕生により、西高東低の流れは加速するばかり。『唯我独尊』タイプのウェストブルックとの共存が上手くいくかどうかはやってみなければ分からないが、攻守ともにNBAトップクラスと評価されているジョージの加入により、エースの負担が軽減されてサンダーが再び強豪に戻るのは間違いない。

ほぼ予測不可能だったポールのサンダー移籍により、最も影響を受けるのはレイカーズだ。以前からジョージは、地元ロサンゼルスを本拠地に構えるレイカーズと相思相愛と見られ、ジョージがどのチームにトレードされたとしても、来夏には契約満了に伴いレイカーズに行くものとみられていた。だが、西の強豪、ましてやMVPプレーヤーのウェストブルックを擁するサンダーへの移籍となれば、話は変わってくる。

もしウェストブルックとジョージが中心のケミストリーが形になり、打倒ウォリアーズの可能性を見いだせた場合、ジョージが心変わりをしてサンダーと大型契約を結ぶ、という流れも十分に考えられるからだ。

気になるサンダーの2018-19シーズンのキャップスペースだが、現時点で予定されている総年俸は約8300万ドル(約93億円)。今夏ウェストブルックが2億ドル(約225億円)前後の『スーパーマックス契約』をサンダーと結ぶ可能性があり、来夏にポールと年俸3000万ドル(約34億円)台の契約を提示することも不可能ではない。

西で大型補強が続出、『西高東低』の流れはさらに加速

西カンファレンスの補強は例年よりスピーディーで、しかも強力なチームが誕生しているのだから驚きだ。

来シーズンもステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンによる『スーパーチーム』を擁するウォリアーズが優勝候補なのは間違いないが、数日前にはロケッツがクリス・ポールを迎え入れてジェームズ・ハーデンとの新コンビが誕生。サンダーではウェストブルック&ジョージという破壊力抜群のデュオ誕生することになった。今後はスパーズも積極補強に打って出るだろう。

同日に成立したトレードでは、ジャズが将来的なドラフト1巡目指名権(条件付き)と交換で、ティンバーウルブズからポイントガードのリッキー・ルビオを獲得した。ウルブズでの6年間はケガに悩まされたものの、ルビオは昨シーズン75試合に出場し、得点(11.1)とアシスト(9.1)でキャリアハイを記録。司令塔としての能力は折り紙付きで、ジャズからフリーエージェントになることが濃厚のゴードン・ヘイワードが残留すれば、ルビオ、ヘイワード、ルディ・ゴベールという楽しみなトリオが結成される。

そのルビオを放出したウルブズには、既報の通りジミー・バトラーが加入した。今回のトレードによりルビオに代わるポイントガードの獲得に全力を注ぐのは間違いない。もしラプターズとの契約最終年を破棄しフリーエージェントになるカイル・ラウリーを獲得できれば、バトラー、ラウリー、アンドリュー・ウィギンズ、カール・アンソニー・タウンズという豪華な陣容が揃う。

資金力では大都市を拠点にする球団に劣るものの、『やりくり上手』なサンダーがジョージを獲得したことで、18-19シーズンから一気に再建を推し進めようとしているレイカーズにも焦りの色が出てくるかもしれない。

各チームの思惑が交錯するオフの動向は1日、いや数時間で変化するため、今後も選手の移籍情報から目が離せない。