文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

A代表で初となる公式大会、記録と記憶に残る活躍

東アジア選手権、日本代表は3位に終わった。自国開催であり、中国や韓国が若手中心のチームで臨んでいたことを考えれば、優勝を逃したことには失望が残る。ただ、アジアではまだ強豪とは言えない日本にとっては『絶対優勝』よりも、そこで何を得て、いかに成長するかが重要だ。

そういう意味では、A代表の一員として初の公式大会に参加した馬場雄大にとって、この大会は今後につながる貴重な経験となったに違いない。スモールフォワードのポジションで小野龍猛と併用される形で4試合すべてに出場、平均19.6分と十分なプレータイムを得た。

「走ってチームを盛り立てるのが自分の仕事」と大会前に意気込んだとおり、持ち前の身体能力を生かしてアグレッシブなプレーを見せた馬場。平均7.8得点はアイラ・ブラウン、比江島慎、田中大貴に続く4番手の数字だ。

スタッツだけでなくインパクトも残した。特に大会最終日の中国戦、ルーズボールを奪ってそのままコースト・トゥ・コースト、ダンクを叩き込んだシーンは馬場のポテンシャルが存分に発揮されたものだった。『公式戦デビュー』としては上々だったと言える。

大会を終えた馬場は、会見で次のように語っている。

「2020年の東京オリンピックで結果を残すことを一番に考えています。そのためにも常に挑戦していきたいです。どんな環境でも満足せず、技術を身につけるために、日々の過ごし方から何事にもトライしていきたい。まだまだ日本のバスケットボールはこれからですし、今後は新しい選手も入ってくると思っています。皆さんには期待していてほしいです」

暫定ヘッドコーチを務めたルカ・パヴィチェヴィッチは、合宿期間以外でも個別指導でスキルを叩き込んだ『教え子』を「ものすごいポテンシャルを秘めた、身体能力溢れる選手」と評価。同時に「控え目にならず、若さをまともに生かしていくべき」とアドバイスし、「まだ大学からプロフェッショナルの世界に飛び込んできたばかりなので、努力を続けていけば明るい未来が来るはず」と語っている。

代表期間を終えた馬場は筑波大に戻るが、それでももう最終学年であり、進路を決める時期だ。あこがれのアメリカを目指すのか、Bリーグ入りを検討するのか、それとも別の道を模索するのか。「2020年を一番に考え」そして「常に挑戦していく」と言う馬場の決断に注目したい。