広瀬健太(サンロッカーズ渋谷)が振り返るBリーグ1年目のシーズン「なかなかチーム一丸で戦うことができませんでした」

2017/06/09
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=本永創太、野口岳彦

サンロッカーズ渋谷は全体7位の成績でチャンピオンシップ出場を果たし、クォーターファイナルで川崎ブレイブサンダーズに敗れBリーグ初年度を終えた。渋谷にとって、チーム最多の57試合で先発を務めた広瀬健太の存在は、なくてはならないものだった。登録はスモールフォワードだが、時に1番(ポイントガード)や4番(パワーフォワード)でプレーするシーンも見られるなど、リーグ屈指のオールラウンドプレーヤーである。

キャリア9年目のシーズンを終えるとすぐに契約を更新、早くも10年目のシーズンを見据える広瀬に話を聞いた。

理解し合えず「なんで分かってくれないんだろう」

──Bリーグ初年度を終えましたが、昨シーズンはどのようなシーズンでしたか?

正直、これまでで一番苦しかったシーズンでした。チームとして、「こういうプレーをするチームになりたい」という共有のイメージを持てませんでした。もちろんチームとして最終目標は優勝ですが、どういうプレーをして、どういう判断をして勝利に近づいていくかの共通認識がバラバラだったので。

例えば僕がパスをしたいのに味方はスクリーンをかけにきたり、逆にスクリーンをかけてほしいのにパスを要求したりとか。逆サイドの選手も全く違う動きをしたり、ディフェンスでもスイッチするのかしないのか。そういうイメージの共有ができなかったところで、なかなかチーム一丸で戦うことができませんでした。

──一般的には、シーズン中盤に元NBA選手のロバート・サクレが加入してチームは上向いた印象ですが、それでも難しい部分があったのでしょうか?

そうですね。外国籍選手と日本人選手にはまずは言葉の壁があって、生まれ育った文化も違いますし、お互い尊重し合ってチーム作りをしないといけないです。そうしないとそこですれ違ってバラバラになってしまうのですが、自分が伝えることがそのまま伝わらない可能性もあって、お互いに「なんで分かってくれないんだろう」と思う場面もありました。

──それでも終盤にはチャンピオンシップ出場を決めて、チームの雰囲気も良くなっていたように見えました。

シーズン終盤にはみんなで飲みに出かけたりして、オフコートでコミュニケーションを取ることができたのが良かったと思います。日本人とか外国人とか関係なく、来シーズンはもっとそういう場を作りたいです。

──しかし、選手の中にはオフはプライベートを大切にしたいとか、休みの時まで一緒にいることを好まない選手もいるかと思います。

でもそれが勝つために大事だという認識があれば、チームが良くなるきっかけにするためにやるべきですよね。結局、みんなバスケットが好きでこの仕事をやっているので、チームスポーツの重要性は分かっていると思います。

ディフェンスの重要さを再認識した結果上り調子に

──相当苦しんだシーズンでしたが、チャンピオンシップ出場を果たしたことで、最低限の目標は達成できたかと思います。

チャンピオンシップ出場圏外まで行った時に、自分たちが勝つためにはどうしなきゃいけないかというところをチームで考えました。そこであらためて「ディフェンスだ」となったんです。ディフェンスの部分で自分たちのアグレッシブさというのが出て、リズムがつかめました。

ディフェンスがベースになったことで、例えば優勝した栃木(ブレックス)とも再延長までいきましたし、アルバルク(東京)にも競って、(シーホース)三河にも勝ちました。それはディフェンスの部分で「ここは崩しちゃダメだ」という部分をチーム全員で共有し、それに対しての準備がしっかりできるようになったからです。それが上昇というか、チャンピオンシップ出場権を獲得できた要因だと思います。

自分たちはどうしてもオフェンスにマインドが行きすぎて、ディフェンスでアドバンテージを取るのに苦労しました。もちろんサイズのある(ロバート)サクレが来てくれて、ゴール下を守ってくれたとことも大きかったです。

1試合平均2.0スティールでスティール王を受賞

──オフェンスにマインドが行きすぎるという話ですが、それでも広瀬選手個人はスティール王になっています。また、アシスト数もキャリアハイの数字を残しました。

個人スタッツはあまり意識していないのですが、スティールのところはチームディフェンスのアグレッシブさが出た結果で、その象徴でもあると思うので、今後もある程度は狙っていきたいです。アシストはガードがケガをしていろいろなポジションをやったことが関係しているかもしれないですね。ポイントガードとしてやれているわけじゃありませんが、メンバーを見た中でやる選手がいなかったので自分がやった時もあるだけです。もう少し自分の良さが生かすこともできたはずで、3ポイントシュートの確率は上げたかったですね。

いずれにしても、渋谷が優勝するには今のままじゃ絶対ダメだと思うので、来シーズンに向けて自分自身もスキルアップしていかないといけないです。

──広瀬選手はSR渋谷との契約を更新しました。来シーズンに向けて「今のままではダメ」なチームをどう変えていきますか?

僕は、毎回たくさん得点を取って、たくさんリバウンドを取って引っ張っていくような、「俺についてこい」というプレーヤーではないので、みんながしっかり自分たちの役割を出せる環境や雰囲気作りをしたいです。自分がやっていたところを若い選手に任せる勇気とか、場合によっては逆に自分がついていくメンタルも必要だと思います。そうすることで周りの選手との信頼関係も高められると期待しています。