阿部友和(千葉ジェッツ)が振り返るBリーグ1年目のシーズン[後編]「どこに行っても勝負しなければいけないのは一緒」

2017/06/14
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

Bリーグ初年度のシーズン、千葉ジェッツの躍進を支えた阿部友和。『ディフェンスマインドをセットする』というバスケットを支えるポイントガードに、この1年を振り返ってもらった。

悪い時は僕が早めに出て、ディフェンスをセットする

──ポイントガードにもいろいろタイプがありますが、阿部選手は今シーズンのチーム内でどんな役割を担っていましたか?

ウチには富樫(勇樹)、西村(文男)、僕とタイプの違うポイントガードがいて、オフェンスのすごく良い富樫がスタメンで出ます。ただオフェンスは良い時も悪い時もあるので、悪い時は僕が早めに出て、ディフェンスをセットする。大野(篤史)さんともシーズン前からそう話していました。ディフェンスをセットして、速いテンポに変える。僕が入る時はだいたい早い展開を得意とするタイラー(ストーン)も入っているので、そこにつなげることを常に考えていました。

富樫はドライブ、パス、外のシュートも得意です。運動能力はありますが身長が低い分、身体を張るフィジカルなディフェンスはどうしても苦手です。ポイントガードがそういうディフェンスをやることで周りが感化される。僕はそういうディフェンスのセットを考えています。

だから僕はオフェンスでそんなにガツガツ攻めることがなかったですね。ウチには点を取れる選手、クリエイトして点を取る選手が多いのに対し、僕はチームを動かしながらチームで点を取りたいガードです。そのイメージでやってきたんですけど、シーズンが終わってから思うのは、チームが苦しい場面ではもっと自分の我を出しても良かったのかなと。反省するとともに悔しい気持ちが出てきました。

別にディフェンスしかできないわけじゃありません。バランスを考えながら、ノーマークの時はしっかり打つようにしていましたが、もっとドライブで作るべき時もあったんじゃないかと。そこは来年、オフェンスの持ち味もどんどん出していきたいと思います。

──2番手ですが、プレータイムはかなりありました。そんな状況で、Bリーグになってレギュラーシーズン60試合、天皇杯があってポストシーズンがある日程はキツかったのでは?

そうですね、こんなに長いシーズンはなかったです。去年から6試合増えて、「たった6」かと思うとそうでもないんです。相当疲れました。やっぱりどのチームも同じですが、シーズンの最後は個人としてでなくチームとして疲れが溜まってきて、それに伴って勝率が落ちるチームもありました。今後はチームとしての体力も必ず必要になってきます。

──起用法についてはどうでしょう。やはりスタメンで出るのが理想ですか?

そうですね。プロとして、プレーヤーとして、スタメンで出たいという気持ちはあります。でも、それはシーズン前に勝負することで、シーズンに入ってスタメンが決まったのであれば、そこは切り替えて勝つためにやります。

逆に考えると、僕が先発で富樫が控えで出てくるのが良いチームかと言うと、そのイメージも難しくて、スタイルの面では良いバランスだったと思います。来シーズンはまた勝負ですね。

どんな形であれ大野さんともう1年やりたいと思った

──阿部選手は早々に千葉との契約延長を決めました。今まさに多くの選手が迷い、悩んでいるところだと思いますが、迷いはなかったですか?

はっきり言って、迷いはすごくありました。この年齢になって、あと何年バスケができるか分からないから、やっぱりスタメンでやりたい気持ちは強かったです。今シーズンが天皇杯も取って良いシーズンだったので次も、という気持ちもあったんですが、選手としてもっと多く試合に出れるチャンスがあるのなら行きたいとも思いました。行くことのできる選択肢もありました。

ただ、今シーズンは大野さんがいて、どんな使われ方をしても大野さんなら許せるというか納得できるというか。チームの観客動員が良くて、成績も良くて、いろんなことが良くなるから残ったというより、大野さんともう1年バスケットをやりたいという気持ちが決め手になりました。

富樫がいて西村がいて、良い選手がたくさんいる千葉の競争は熾烈です。他のチームに行くほうがスタメンになれる確率は高い。だけど、どこに行っても勝負しなければいけないのは一緒で、「だったら大野さんとやりたい」という気持ちで残ることに決めました。

大野さんが天皇杯優勝で泣いているのを見て、リーグ戦で勝てなくて悔しそうにしているのを見て、どんな形であれ大野さんともう1年やりたいと思ったんです。プレータイムは自分で勝ち取ればいいし、そこは勝負の世界なので。正直、信頼の置けるコーチはそれほど多くありません。日本人のコーチでこれだけ信頼できて、男気のある人はいなかったです。僕は人間としての情をすごく感じて好きになるので、大野さんともう1年やって、そして2冠を取りに行く気持ちで頑張ります。

『ジェッツ愛』を感じられる機会がすごく増えています

──Bリーグが始まったことでバスケ界、千葉が変わった部分はどこですか?

観客動員数は増えていますが、ウチに関しては昨シーズンもお客さんは入っていました。それでも、『千葉愛』とか『ジェッツ愛』を感じられる機会がすごく増えています。それは今シーズン、天皇杯で優勝したりリーグで活躍したことに伴って、ブースターやスポンサーの方々の『ジェッツ愛』を感じられるようになりました。ただ会場に来るだけじゃなくて、本当に自分のことのように応援してくれるというか、熱気は一段階上がったと思います。

これだけメディアの露出が増えて、テレビでも新聞でも載せてもらって、街で「千葉ジェッツの阿部さんですよね」と話しかけられる機会が増えました。本当にいろんな人に千葉ジェッツが知ってもらえるようになっています。その点で気が抜けないというのはあります。メディアでたくさん扱っていただける分、選手としてのあり方はすごく大事にしないといけない。

北海道は地方なのでメディアの露出は高かったんですが、さらに露出するようになっています。その意味では人としても成長していかなければいけないと感じます。

──長いシーズンを終えて、ようやくオフに入ります。どうやって過ごしますか?

身体はあちこち痛いし、2年前にアキレス腱を切っているので、その代償で他のところが弱くなったり痛みが出たりしています。まずはそのバランスを整えるところから、もう1シーズン戦うことのできる身体作りを少しずつやっていきます。僕は地元の福岡が大好きなので、今年は少し早めに帰ってゆっくりしたいですね。

──じっくり準備して、千葉3年目となる来シーズンは何を目標にしますか?

2冠を取りに行く目標だけを持ってやります。そのためにもオフはしっかり準備します。