阿部友和(千葉ジェッツ)が振り返るBリーグ1年目のシーズン[前編]「勝ち抜くメンタリティが少しだけ足りなかった」

2017/06/13
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

Bリーグ初年度のシーズン、千葉ジェッツの躍進を支えた一人が阿部友和だ。レバンガ北海道時代は不動の先発だったが、現在は富樫勇樹に続く2番手のポイントガード。それでも『ディフェンスマインドをセットする』という千葉のバスケットの根幹を担う、チームに欠かせない存在だ。それは千葉のファンも理解しており、阿部の熱く激しいプレーは大いに支持されている。

そんな阿部に、千葉が躍進を遂げたBリーグ初年度のシーズンを振り返ってもらった。

栃木には「スキルで圧倒してチームワークで負けた」

──Bリーグ1年目を振り返ると、どんなシーズンでしたか?

キャリア9年目にして一番良いシーズンでした。やはり天皇杯で優勝できたことは大きいです。ただ、シーズンを通しての『2冠』という目標は達成できていなくて、バスケットの難しさをまた感じた1年でもありました。Bリーグのファイナルはスポナビライブさんで解説させていただいて、会場であの試合を直に見て感じるものがすごくあったので、それを来シーズンに生かしたいという気持ちが今はすごく強いです。

──千葉はレギュラーシーズンの最後も良い形で終えて、充実していたと思います。その中でも良かった点、悪かった点はどこですか?

スキル面で言えばウチは一番だと思います。チームワークとケミストリーは、ないわけではありませんが、1試合継続することだったり、レギュラーシーズンの60試合、チャンピオンシップの2試合を勝ち抜くメンタリティが、本当に少しだけ足りなかった。結局はその部分ですね。

栃木に負けた2試合も、「スキルで圧倒してチームワークで負けた」と思っています。20点差を付けた時点で、相手は気持ちが折れてもおかしくないですよね。それでも栃木は折れなかった。ところが僕たちはそこで、勝っているにもかかわらず乱れてしまった。スキルもプロとして絶対に必要ですが、バスケットはチームワークが本当に大事なんだと思います。特に栃木はコーチも主力選手も変わらずここ何年かやっていて、チームワークの部分ではリーグで一番でした。

チームが上に行くためのコミュニケーションを取る

──そこは栃木のキャプテン、田臥勇太選手のすごみが出た部分だと思いますか?

そこに関しては田臥さんよりもサブのメンバーだと思います。ウチとの試合でも、三河戦でもサブのメンバーの活躍で勝っています。そこはチームの総力戦でした。スタメンで出る選手は、活躍するかどうかは別に、どれぐらいできるかはだいたい分かります。その後に上乗せするサブの働きで、勝つ確率が大きく変わります。特に20点差を付けた試合では、スタメンがうまくいかない中で20点離された時に、栃木はサブが入ってきてリズムを変えて波に乗りました。

もちろん田臥さんがメインでやっているからこそ、ケミストリーが生まれるというのもあります。試合映像を後で見た時に、田臥さんはベンチでもロッカールームでもあれだけ声を出して鼓舞しているわけです。ただ声を出すだけじゃなく、田臥さんが言うからこそ周囲も付いてくるというのもあるでしょう。チームの総力戦で、栃木は何をすべきかが明確でした。

──「チームワークが大事」なのは誰にでも分かるのですが、実際にチームワークを備えたチームはそう多くないと思います。どうすればチームワークは良くなると思いますか?

もちろんコミュニケーションは大事ですが、まずはチームとして何をすべきか、それをチームとしても個人としても明確に持つことが大事です。やるべきことに対してそれぞれがどうするか、マイナスなことを話すのではなく、チームが上に行くためのコミュニケーションを取る。それが規律なんですが、ルールがなければ規律は生まれないし、規律がなければチームワークは生まれません。個人がそれぞれいろいろなことを話しますが、そこにはルールがあって、規律があって、その中でチームワークが生まてくるものだと思います。

どんなに頑張ったってシュートが入らない時や試合に勝てない時はあります。そんな個人の抱えているストレスをチームの規律の中で話してもうまくいくはずがない。個人の出来は別として、チームがうまく行くために自分がその時に何ができるか、周りにどうしてほしいのか。それを話すことが必要です。

何が違うかって、やはりチームのケミストリーだった

──昨シーズンの千葉は、お客は入るけど強いチームではありませんでした。勝ち負け以前に、チームがあまりうまく噛み合っていない雰囲気がありました。ところが今年は全然違って、雰囲気の良さは明らかでした。この差はどこから生まれたのでしょうか?

去年は「勝ちたい」、「どうにかしなきゃいけない」という気持ちをみんながどんどん出していました。でも、チームとして何をしなければいけないかが一つではなく、みんなが同じ方向を向いていませんでした。頑張ろう、頑張ろうとしているけど、それぞれ違う方向に頑張っていた。それは見ている人たちにも感じられたと思います。

頑張ってハッスルしているけど他が付いてきていないとか、1試合落としてバラバラになってしまうとか。特に接戦になるとチームが一つの方向を向いて、何をすべきかが明確であるかどうかで勝敗がすごく分かれます。

今シーズンに関しては、特に天皇杯で勝ったことでチームとして何をすべきかが理解できました。天皇杯以降は、どれだけビハインドになっても、何をしなければいけないかは一つ明確なものがありました。昨シーズンと今シーズンの違いはそこだと思います。昨シーズンもメンツは揃っていました。何が違うかって、やはりチームのケミストリーだったんです。スキルに関してはそんなに変わっていません。チームワーク、チームとしてのタフさでバスケットは全然違うものになるんだと感じた1年でした。

──収穫も課題もあったシーズンだと思いますが、100点満点で評価すると?

難しいところではありますが、大きいケガなくシーズンを通してやれたことがまず一つ。今シーズンはチームスタッフのケアのサポートが手厚くなったので、その効果も出て助かりました。そして天皇杯の決勝戦で、絶対にビハインドで出番が来ると考えていたところで流れを変えられたことが個人的にはすごく大きいです。リーグ戦では悔いが残る試合もあったので、70点ぐらいかな。でもこれは、僕としてはすごく良い点数です。