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「攻守両面で自信を持ってプレーしろということ」

キャバリアーズにおいて2連覇のキーマンとなるのは、ケビン・ラブだ。東カンファレンス1回戦から勝ち上がるごとに状態を上げ、セルティックスとのカンファレンス決勝では3ポイントシュートの精度を上げ、シリーズ5試合で成功率53.5%を記録している。

もっとも、レギュラシーズンを振り返ると、ラブはウォリアーズとの2試合で印象に残るプレーを見せられていない。3ポイントシュートは平均1.5本しか成功させられておらず、2試合での平均得点も11.5得点と、シーズンアベレージの19.0得点を大きく下回った。今回のファイナルでもマッチアップするであろうドレイモンド・グリーンのディフェンスを苦手にしているという見方もある。

キャブズのエースであるレブロン・ジェームズは、シーズンを通してメディアを通じ、ラブにティンバーウルブズ時代のプレーを取り戻してほしいというメッセージを送り続けている。

ファイナル第1戦前日の会見でそのことを質問されたラブは、「きっとブロンが言う選手は、今の自分よりも太っていて、ヘンテコな髪型をしていた選手のことだね」と冗談を飛ばしたものの、その本質について、こう話した。

「彼のメッセージの意味は、攻守両面で自信を持ってプレーしろということだろうね。自分のプレーをやればいい、という意味でもある。シュートの成功や失敗は、また違う話だ。『自分にはやれる』という気持ち、つまりは自信だよ。もちろん、これはチーム全員に言えることで、全員がそれぞれのベストを尽くさないといけない」

グリーンの守備とトラッシュトークをかわし波に乗れるか

キャブズの『ビッグ3』の中では、圧倒的な支配力を誇るレブロン、切れ味鋭いドリブルからの攻撃パターンと勝負強さを併せ持つカイリー・アービングに続く3番手という印象が強い。だが、機動力があり、インサイドからもアウトサイドからも点が取れ、守備にも優れるラブは2人にはない武器を持っている。

ウォリアーズは、ラブがスペースを見つけてシュートを決める展開を嫌がるだろう。単発ならまだしも、ラブは一度リズムをつかむと連続してシュートを決めてくるタイプ。キャブズにはレブロンを始め、アービング、今シーズン途中から加入した元トップクラスのポイントガード、デロン・ウィリアムズという優秀なパサーが多い。ラブに好きなようにシュートを決められてしまえば、ウォリアーズの守備の意識がにラブに向いてしまい、結果的にレブロンとアービングの仕事がしやすくなる。

もちろん、泣いても笑っても最後の戦いになるファイナルでは、グリーンがラブに立ちはだかる。レギュラシーズンの対戦以上にマッチアップはタフになり、トラッシュトークでペースを乱そうともしてくるだろう。ラブは、グリーンのトラッシュトークについて「彼はリーグでもベストなトラッシュトーカーの一人。彼がウォリアーズのリズムを生み出している選手でもある」と話し、警戒している。

レブロンvsケビン・デュラント、アービングvsステフィン・カリーというマッチアップに注目が集まるが、勝敗に最も大きく影響するのはラブとグリーンのマッチアップかもしれない。