[引退インタビュー]籔内幸樹(京都ハンナリーズ)プロフェッショナル意識の塊、Bリーグ初年度を最後に現役引退を決意

2017/05/31
Bリーグ&国内
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文=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=京都ハンナリーズ

日下光の引退発表から数日、今度は籔内幸樹の現役引退が発表された。日下が抜けた後、リーダーシップを執ると期待された籔内までもがチームを去るのだから、京都ハンナリーズのファンは驚いたに違いない。

籔内はまだ32歳、シックスマンとしてシーズン60試合すべてに出場した。「まだまだできる」どころか、引退を意識していたこと自体が驚きだった。それでも彼は「もう決めました。後悔は一切ないです」と語る。シーズン終了後すぐに発表したのも、『その次』に向けて動かなければいけないチームの事情を考えたからだ。

bjリーグで6シーズン、そしてBリーグでの1年目。計7シーズンのキャリアを見続けてきたファンにとって、籔内の引退は受け入れにくいものだろう。彼自身に、どんな考えで引退に至ったのかを語ってもらい、そしてキャリアを振り返ってもらおう。

中途半端にやるぐらいなら去るべきだと考えました

──突然の引退発表に周囲は驚いたと思います。まずは理由を教えてもらえますか。

最大の理由は指導者に興味を持ったことです。B1の舞台でプレーして、来シーズンも選手として続けることに100%集中できないと思いました。それだったら自分が興味を持ったことに、心身ともに100%で向かっていきたい。それが引退の理由です。

実際のところ、京都からは来シーズンのオファーもいただいていました。この時期は選手にとって難しい時期で、本当に感謝しています。その期待に応えられなかったのは申し訳ないです。

──現役をまだ何年か続けてから指導者になることも可能だったのでは? 気力や体力の限界で引退を決めたようには見えません。

そう言っていただけると本当にうれしいです。僕も、できるかできないかで言うとまだできると思うし、その自信もあります。もちろん身体も動きます。それでも、1シーズンという長い目で見ると、身体だけでなく心の部分も大事じゃないかと感じています。100%の情熱や試合への準備の面で、自分の考えるプロフェッショナルのレベルで続けるのが難しくなった、それで今このタイミングで引退しようと決めました。

考え方は人の数だけあると思うし、僕の言っていることが必ずしも正しいとは思っていません。誰しもが立てる舞台ではないところでやらせてもらっているという自覚があったので、それで中途半端にやるぐらいなら去るべきだと考えました。

連敗を止めるには尋常じゃないエナジーが必要になる

──少し話を戻しましょう。Bリーグ1年目の今シーズン、振り返るといかがですか?

選手にとってもクラブにとっても、前例がなくて難しいシーズンでした。こうすれば観客が入るとか、これをやれば勝てるとか、それを見つけるまでにどのチームも時間がかかったと思います。ただ、僕の考え方としては「結果は後から付いてくるもの」なので、勝とうが負けようが一喜一憂せず、目の前のことに対して毎日しっかり準備できるかどうかがプロとして一番大事だと思っています。シュートが入る日があっても、ずっと入るのかと言えばそうじゃない。日々の練習や準備を怠らないのは最低限のルールです。

約8カ月、レギュラーシーズンの60試合とオールジャパンも含めればもう少しあった中で、やらなければいけないことをやりきったかと言うと、やっぱり違ったのかなと。選手個々の力というよりチームとして足りないところがあったので、こういう結果になったと思います。

具体的に足りないところが何だったのか、正しい戦術や戦い方は、突き詰めれば突き詰めるほど一つの正解は見つけられないものです。ただ、一つ挙げるとしたら、京都は去年までのbjリーグではある程度は勝つことに慣れていたチームでした。それがBリーグになって連敗すると、止めるのが難しかった。連敗を止めるには尋常じゃないエナジーが必要になるので。その部分が足りなかったと僕は思います。

Bリーグで戦うにはバスケットIQとディフェンスが必要

──籔内選手はチームリーダーの一人でした。京都を1シーズンまとめるのに、どんなことを心掛けましたか。

これまで京都はベテランが多かったんですが、今年は若い選手が入って来たので、その間に入ってチームが良くなるため、チームが勝つための発言をしようと思っていました。もちろん、人の数だけ考え方や伝え方はあるのですが、言いたいことを言うのとは違います。チームを良くすることを考えて行動してきたつもりです。

せっかく好きなバスケットをやっているんだし、プロの世界で2年連続で同じロスターはあり得ない。だからお互いが気持ち良くバスケットをしたい。その上で、自分たちは結果を出さなくてはいけない仕事です。ゴールに到達するためには、そうしたコミュニケーションが大事です。

ただ、大事だと分かっていても、話しかけづらいこともあります。なので僕は自分から率先して声を掛けるようにしていました。僕ははっきりしないことが嫌いなので、思ったことは口にする。僕が間違っていたら指摘してほしい。そういう考え方です。

──bjリーグからBリーグになって、京都がこれから強豪チームになっていくのに必要なことは何でしょうか。

バスケットIQです。バスケットを本当に理解した選手でないと、Bリーグで戦うのは難しいと思います。あとはディフェンスですね。個人ディフェンスとチームディフェンス。その後にそれぞれの個性が出てきます。

例えばシーホース三河には8回やって8回とも勝てなかったのですが、個々のタレントが突出しているだけじゃなく、戦い方がブレない、自分たちの信念を貫いて戦うことができる。それだけきっちりやり続けることが、今シーズンの僕たちにはできていなかったです。

──来シーズンの京都をどう見ますか?

初年度の結果は良い意味で基準になりますし、ベースになります。チャンピオンシップに行くのが目標であれば、もっと危機感を持って、自分たちが掲げた目標に対してどれだけブレずに取り組めるか。結果がすべてなので、自分たちが素晴らしい準備とパフォーマンスをしても、相手が上回ったら負けてしまうこともあります。それは勝ち負けのあるスポーツだから当然ですが、だからといって「今日はやるけど明日はやらない」というのが個人やチームで出てくると、このリーグで上に行くのは難しいです。