文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

自分の尻拭いは自分でするも、チームを勝利に導けず

アルバルク東京は川崎ブレイブサンダースとのチャンピオンシップセミファイナル第1戦を落とした。

両指揮官が語ったように、セカンドユニットのパフォーマンスが勝敗を分けたのかもしれない。だがディアンテ・ギャレットとともにエースとしてA東京を牽引する田中大貴は自分を責める。「ディアンテがオン・ザ・コート『1』でいない時に悪い流れになっている感じなので、そこは自分に責任があると思います」

確かにオン・ザ・コート「1」の第2クォーター、第3クォーターのスコアは30-46と、大きなマイナスとなっている。「個人的にはターンオーバーも少し多かったので、試合の入りに乗り切れなかった悔しさがあります」と、前半で3ターンオーバーを犯し、それを得点に繋げられたことは悔やみきれないだろう。

それでも第2クォーター終盤の連続3ポイントシュートで劣勢を覆し、第3クォーターでも7連続得点を挙げて反撃の原動力となった。それでも、最も大事な最終クォーターで田中は無得点に終わっている。

「ディアンテがアタックできればアタックしますし、マークがあれば自分がアタックします。それが前後しても別にいい状況で……」とそれに続く言葉を探した。「確かにもう少し点数を取れれば良かったです。自分の中で試合の入りがあまり良くなかったので、それを1試合通して引きずってしまったのかなという感想はあります」

14得点4スティールのスタッツ「全然良い数字じゃない」

A東京は今日の第2戦での勝利が必須となった。チャンピオンシップのレギュレーション上、第3戦の戦い方も意識しなくてはならない状況だが、田中の意識は第2戦の勝利だけに向いている。「第2戦を勝たないと意味ないですし、考えてないです」

「自分たちのミスから相手に良い流れを渡してしまったので、それをなくして勝つしかない。アタックする時はアタックして、今日のことは忘れて開き直ってやるだけです」と必勝を誓う。

自分たちのミスというように、田中は3ターンオーバーを犯してはいるが、ギャレットに次ぐ14得点と4スティールを記録した。スタッツとしては悪くはないはずだが、彼自身は「全然良い数字じゃない」と否定する。

「自分がミスをしていたら来る流れも来ないと思うので、そこはしっかり反省して。こういう厳しい戦いをモノにするには誰かが当たらないといけないと思うし、ディアンテか自分どちらかがゲームを支配できるようにという考えはあります」と、エースとしての強い思いがその言葉に集約されていた。

「誰かが当たらないといけない」と同義である、伊藤拓摩ヘッドコーチが求める「ステップアップする選手」に田中がなった時、A東京のファイナル進出への道は開かれる。