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シュートタッチが悪い中、アジャストしていくウォール

東カンファレンスの準決勝、ウィザーズとセルティックスの第6戦。どちらに転んでもおかしくない大接戦を、ウィザーズがジョン・ウォールの決勝弾で制した。

2勝3敗と後がないウィザーズは、地元ファンの後押しを受けて攻守ともにアグレッシブにプレーし、勢いでセルティックを上回る。ただ、シュートの確率が上がらずに重い試合展開に。第2クォーターにウォールが16得点を奪い、残り4分を切ったところで40-30と2桁の点差を付けるも、ここから0-10のランを浴びてリードを吐き出してしまう。

後半に入るとセルティックスが反撃開始。軸となるのはアイザイア・トーマスだ。前半はウィザーズの厳しい守備になかなかシュートを打てなかったが、後半になると無理して単独で突破するのではなく、1on1を仕掛けてズレを作ってからのパスでチャンスを作り出す。ウィザーズの守備がこれに反応しようとすると、その気配を読んで自らリングにアタック。メリハリの利いた攻守を展開して、第3クォーターは常にセルティックスがリードする展開となった。

それでもウォールも調子を上げる。前半はシュートタッチが悪く3得点と目立たなかったが、ピック&ロールから一気にトップスピードに乗るドライブでガンガン仕掛け、プレーで自らの調子を上げていく。スイッチしたビッグマンのケリー・オリニクとアル・ホーフォード、2人がかりで進路を阻んでも止められない。

こうなると『相棒』のブラッドリー・ビールも呼応するかのようなプレーを見せる。残り9分45秒、大胆なドライブを仕掛けたビールがダブルクラッチを沈めて70-69と逆転。後半になって初のリードを奪う。

トーマスの「決まったと思った」決勝ブザービーター

アイザイア・トーマスもエンジン全開。低い姿勢のドライブでトップスピードに乗り、相手の対応が遅れればそのままアタックしてレイアップ、相手が付いてくれば急ブレーキで引きはがしてのジャンプシュート。こうしてリードチェンジを繰り返して時間が進んでいく。

もっとも、すべてがうまく運んでいたわけではない。ウィザーズのシュート成功率は依然として低く、フリースローは試合を通じて21本中13本(61.9%)と低く、セルティックスはセカンドユニットがほとんど得点を奪えない(試合を通じて5得点)。

大接戦の勝敗を分けたのはエースの勝負強さだ。89-89で迎えた残り14秒、トーマスとのピック&ロールからアル・ホーフォードがジャンプシュートを沈めてセルティックが勝ち越す。それでも残り3秒でウォールが3ポイントラインよりさらに一歩遠い位置からのシュートを沈めてウィザーズが逆転。

残り3.5秒、タイムアウト後のセルティックの攻めを、ケリー・ウーブレイJrがファウルで一旦止め、残り時間は1.7秒に。リスタートでボールを受けたトーマスがブザーとともにラストショットを放つが、これがリングに嫌われ、ウィザーズの勝利が決まった。

27得点を挙げたアイザイア・トーマスは「正直なところ、決まったと思ったんだけどね」と、決まれば決勝ブザービーターだった最後のシュートを悔やんだ。

逆王手をかけたウィザーズの指揮官、スコット・ブルックスは「プレーオフで最も興奮する言葉が『Game Seven』だろう?」と不敵に笑った。

他の準決勝はすべて終了しており、このカードだけが第7戦までもつれた。1回戦でも第7戦までもつれたのはクリッパーズvsジャズだけ。ウィザーズとセルティックスがプレーオフの『醍醐味』を見せてくれるであろう第7戦が楽しみだ。