写真=Getty Images

レナード欠場のピンチにオルドリッジが大活躍

スパーズとロケッツのプレーオフ準決勝第6戦。エースのカワイ・レナードが欠場したスパーズだが、自慢の堅守をベースに完璧な試合運びでロケッツを粉砕した。

スパーズは序盤、シュートレンジの広いラマーカス・オルドリッジが中外ともに高確率でシュートを沈めていく。ロケッツはスクリーンピックに対しダイブされるため、スイッチでの対応を余儀なくされ、高さのミスマッチを突かれた。第1クォーターだけで10得点を挙げたオルドリッジに牽引されたスパーズが31-24とリードを奪う。

第2クォーターに入っても流れは変わらず。スパーズはズレができるまで何度もピック&ロールを繰り返し、粘り強くオフェンスを再セット。ショットクロックがわずかでも落ち着いてシュートを沈めていく。ディフェンスではジェームズ・ハーデンへのプレッシャーを強め、キックアウトのパスを狙いターンオーバーを誘った。

前半のハーデンは5得点5ターンオーバーとブレーキ

残り5分、ディフェンスを完全に崩してオルドリッジがミドルシュートを沈め、53-32と点差を20に広げる。ロケッツとしてはハーデンの個人技で打開し、流れを変えたいところだが、スパーズはそれを許さない。キックアウトパスを狙われリズムを崩したハーデンは、3ポイントシュートの精度も欠き、ドライブはビッグマン2人に阻まれる。前半を終えてハーデンは2本しかシュートを打てず、わずか5得点。それでいてターンオーバー5つを犯すなど、完全に封じられた。

61-42で始まった後半、開始3分でスパーズが10-1のラン。機動力と得点力を優先するスモールラインナップのロケッツに対し、オルドリッジとパウ・ガソルのビッグマンがインサイドを支配。ハーデンがビッグマンのマークに付くミスマッチから得点を重ねた。

結局、ロケッツのリーグ2位の得点力は最後まで発揮されず、ディフェンスの悪さばかり露呈したロケッツは75-114で完敗。ハーデンのパスセンスが開花し、3ポイントシュートの破壊力を見せ付けて躍進を遂げたロケッツのシーズンがこれで終了した。

失意のハーデン「必ずレベルアップする方法を見付ける」

レナードの欠場によりリングへのアタックをより強く意識したことが功を奏し、ゲームハイの34得点を挙げたオルドリッジは「普段よりボールが回ってくることは分かっていた。決めることだけを考えていた」と語る。「自信を持ってプレーできたし、パティ(ミルズ)も素晴らしかった。試練だったけど、序盤からリズムに乗ることができたよ」

絶好調のハーデンが、最後の最後で失速。スパーズの徹底した対応に封じられ、10得点に終わった。「ボールを動かされ、ショットも決められ圧倒された。自分たちのリズムでやれず、そこを相手に突かれてしまった。ホームでの敗退はつらいけど、前に進まなくては。今回はスパーズが上だったということ。もちろん悔しいよ。必ずレベルアップする方法を見付けるつもりだ」

もっとも、ハーデンの不調だけが敗因ではない。ハーデンが抑えられた時に他の選手が打開できなかったのも事実だ。75得点はレギュラーシーズンも含めシーズン最低の数字。そして、ハーデンが言うようにスパーズを称えるべきだろう。トニー・パーカーとレナードを欠きながら、勝負どころで完璧な攻守を見せたのだから。

そのスパーズは西カンファレンス決勝で『スーパーカルテット』を擁するウォリアーズと対戦。西カンファレンスの頂上決戦は5月14日に幕を開ける。