文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE、野口岳彦

「見に来た人の期待を裏切らないこと。それに尽きるよ」

本日、千葉ジェッツvs秋田ノーザンハピネッツが行われた千葉ポートアリーナに、川淵三郎エグゼクティブアドバイザーが来場した。

『Bリーグ産みの親』とも『バスケ再興の立役者』とも呼ぶべき彼がティップオフ前にマイクを握り、「素晴らしいファンの皆さんに感謝します」と挨拶すると、満員に膨れ上がった千葉と秋田の観客は万雷の拍手で応じた。

最後の最後までもつれた末に千葉が制した激闘を、千葉市長の熊谷俊人と並んで観戦した川淵エグゼクティブアドバイザー。試合後には興奮の面持ちで次のように語っている。

「本当に素晴らしい試合だった。でもまだスタートで、Bリーグは右肩上がりだと思う。Jリーグみたいな右肩上がりには行かないかもしれないけど、バスケットボールの持つ魅力が多くの人に分かってもらえるようになっていくことで、ステップ・バイ・ステップで上がっていきますよ」

リーグがさらに盛り上がるための秘訣を「選手の技術レベルを上げて、見に来た人の期待を裏切らないこと。それに尽きるよ」と語る。

「今日の富樫(勇樹)選手のように、勝負どころで3ポイントシュートを決めるような。普段からちゃんと練習していないと、ああいうシュートは入らないですよ。実力というのは日頃の練習の積み重ねでしかないから。その上で、今日のような会場の雰囲気に押し上げてもらって、ああいったプレーが出るんです」

残り1分を切って73-73の同点。ここで飛び出した富樫の3ポイントシュートは、川淵エグゼクティブアドバイザーにも強烈な印象を残したようだ。

「チャンピオンシップも楽しみにしていますよ」との言葉を残して会場を後に。散々な状態にあったバスケ界の再建に乗り出した時には、周囲の大半が懐疑的な目を向けていた。そんな人たちにこそ見てもらいたい『アリーナの景色』だった。

開幕戦という『お祭り』ではなく、Bリーグの『日常』としての試合でアリーナの熱狂を感じられたことに「素晴らしい」とコメント。大いに満足した様子だった(写真は昨年9月のBリーグ開幕戦でのもの)。