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アリーナ全体を敵に回す状況を楽しみ、刺激に変える

ラプターズとの東カンファレンス・セミファイナル開幕に向けて調整を続けるキャバリアーズ。レブロン・ジェームズは、4月28日にメディア取材に応じた際、プレーオフではホームよりも敵地での試合を好むと語った。

「敵地での逆境が好きなんだ」とレブロン。その理由を次のように説明している。

「もちろん、ホームでの試合は楽しい。この14年間ずっと大好きだ。でも、個人的にはホームゲームよりも、ロードゲームが好きなんだ。不思議に聞こえるかもしれないけど、逆境を楽しんでいるんだ。敵地で勝って『残念だけれど今日はお前たちの日じゃない』という雰囲気を作り上げる。これが『レブロン・スローガン』なんだよ。相手のファンから『お前なんて実際は大したことない」という目を向けられ、それを変えることにやりがいを感じるんだ」

NBA入り前から『選ばれし者』と称賛されたレブロンが背負い続けている重圧は、他者には理解できないものだろう。成功を重ねるたびに『アンチ』も増やしつつ、それでも『現役最強』の称号を確固たるものとした。この感覚は、ただでさえ常人離れしたアスリートの中でもトップクラスの選手にしか分からない境地なのだろう。

敵地を好む理由についてレブロン自身も「理由は分からない」と言う。「防衛本能、とでも言うのかな。こちらは選手15人とコーチングスタッフ、それに敵地まで足を運んでくれるファン。それで会場全体、街全体、州全体を相手に回すわけだからね」

ラプターズは、リーグでも熱狂的なファンを持つ球団として知られている。レブロンも昨年のカンファレンス決勝で対戦した際、それを思い知ったはず。キャブズはレギュラーシーズン中、敵地でラプターズに2勝0敗と相性が良いが、レブロンは「そんなものはアドバンテージにならない」と語る。

「レギュラーシーズンの敵地での戦績が良いからといって、今回のシリーズでも敵地で勝てるとは限らない。毎試合で全力を尽くし、チームの成功のためなら何でもするだけ」

レブロンにとって、ラプターズは7年連続のNBAファイナル進出に向け越えなければならない壁でしかない。NBAの顔とも言える『キング』が、ポストシーズン中の敵地戦に限り、地元ファンの歓声を悲鳴に変える『スーパーヴィラン』(悪役)に変化する。