文・写真=鈴木栄一

「インサイドを積極的に突いていくゲームプランだった」

前節、千葉ジェッツは敵地に乗り込んでの難敵、アルバルク東京との対戦で連勝した。オーバータイムにもつれこんだ15日の試合を87-81で制して迎えた16日の試合では、第2クォーター途中に最大19点差を付けるなど前半で圧倒し、84-78で逃げ切り勝ちを収めた。

特に16日、千葉の中で際立つパフォーマンスを見せた代表格がマイケル・パーカーだ。約30分の出場時間で19得点12リバウンド4ブロックと攻守に躍動した。

「ディフェンスが良かった。そして多くのエナジーを出し、集中してプレーできた」と勝因を語るパーカー。自身の活躍については「昨日、オーバータイムで勝った後で、この試合が激しいものになることは分かっていた。だからタフにプレーをしただけ」と振り返る。

また、2点シュートが9本中8本成功とインサイドで確率良く得点を重ねたオフェンスについては、「インサイドを積極的に突いていくゲームプランだった。相手の守備を広げ、正しいタイミングでしっかりダイブできた」と話す。

そしてこの試合、得点面と同等、もしくはそれ以上に目立ったのが4ブロックといった守備面での活躍だ。千葉といえば、ヒルトン・アームストロングというリーグを代表するショットブロッカーが『ゴール下の番人』として大暴れしている。だが、パーカーも的確なポジショニングとタフな守備で、千葉のインサイドを支えている。

このブロック量産については、豊富な経験に裏打ちされたプレーの賜物と語る。「うまく説明はできないけど、経験を積むことで次に何が起こるのか予測はしやすくなっている。同じ状況なら自分がどうするのかを考えて、それに対応していくんだ。ハードディフェンスを安定して続けることで、試合の流れを作ることができる。タフなメンタリティーでインサイドを戦えていると思う」

「プレーオフの前哨戦、連勝はまた意味が違ってくる」

今回、千葉にとっては自身を含む上位5強(川崎ブレイブサンダース、シーホース三河、栃木ブレックス、アルバルク東京)を相手にする中で初の2連戦での連勝となった。パーカーも「いろいろなチームがいるが、この時期の強豪対決はプレーオフの前哨戦のようなもの。そこでの連勝はまた意味が違ってくる」と手応えを感じている。

また、パーカーにとってA東京は、トヨタ自動車アルバルク東京だった昨季まで1シーズン半在籍したチームである。古巣相手に慣れ親しんだ代々木第二体育館で戦うことを「素晴らしい体験だった。みんな人柄の良い選手で、悪い感情は全くない」と振り返り、「千葉のことを愛しているし、加入できてハッピーだ」と語る。

パーカーはこの試合、結果的に千葉の勝利を確定させた残り16秒、1点リードの場面でフリースローを3本失敗した田中大貴について次のように語る。

「大貴は日本バスケ界でも屈指のゲームクローザーだ。何が起きたのかは分からないが、同じことは二度と起こらないと保証する。彼は学習能力が高く、高いモチベーションを持って自身を成長させているからね」

いよいよレギュラーシーズン残り7試合となったが、今回の連勝で千葉は地区2位となり、チャンピオンシップ1回戦でのホーム開催も十分に狙える位置につけた。そして29日、30日には敵地に乗り込んでの栃木ブレックスとの大一番が控えている。

だが、パーカーは、すべての試合で気を抜くことはできないと強調する。「下位とのチームとの対戦も全く油断できない。チャンピオンシップに出場するチーム相手に一泡吹かせてやろうと彼らは気合を入れて向かってくるんだ」

チャンピオンシップのような短期決戦は、まさに何が起こるか分からない。一方でだからこそ、より普段通りの『やるべきプレー』を確実に遂行することが、いつも以上に重要になってくる。安定感抜群のパーカーの存在が、そこで千葉の大きなアドバンテージになることは間違いない。