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『プレーオフ・モード』で大活躍のレブロン・ジェームズ

NBAプレーオフがキャバリアーズvsペイサーズで幕を開けた。3月から守備が崩壊し、レギュラーシーズン終盤には不甲斐ない試合を続けてカンファレンス1位の座をセルティックスに明け渡したが、無理をしなかった分、プレーオフにしっかりと合わせてきた。

レブロン・ジェームズは43分の出場で32得点13アシストの活躍。マークについたポール・ジョージを背中で押しのけてからのスピンムーブでの得点を決めれば、ピック&ロールで作ったズレを埋めるべくカバーに来るディフェンスを見越して逆サイドでフリーになるケビン・ラブにパスを送り3ポイントシュートをアシスト。さらにはカイリー・アービングのパスを呼び込んで身体をひねりながらの高難易度アリウープを決める。『キング』の異名に相応しい爆発ぶりだった。

ペイサーズもビハインドの時間が続く中でポール・ジョージを中心に粘りを見せるが、第3クォーター終盤に10-0のランを浴びて78-90と点差が2桁に開く。

レブロンは第3クォーター終了時点で26得点10アシスト。このままキャブズが押し切るかと思われたが、ジョージが「挑戦するだけでなく勝ちたい」と試合前に話したとおり、ペイサーズは決してあきらめず、追い込まれてチーム一丸となった。

ポール・ジョージが至高のゲームメークを披露

ポール・ジョージは自ら狙うのではなくピック&ロールでズレを作ってのパスワークでスムーズな攻撃を演出。キックアウト・パスでジェフ・ティーグの24秒ブザーと同時の3ポイントシュートをアシストし、ラブとチャニング・フライの間の狭いスペースに入ったマイルズ・ターナーの動きを見逃さずパスを送りイージーシュートを作り出す。さらにはJR・スミスが身体でドライブを止めに来るのを察知してシュートモーションに入り、フリースローを獲得。これを1本沈めて102-103と1点差まで詰め寄った。

この間、キャブズは崩し切らないまま、ショットクロックが残っているのに確率の低いシュートを打っては外す散漫な攻めでペイサーズを助けることに。残り3分30秒、ジョージのスクリーンプレーでフリーになったティーグが正面からの3ポイントシュートを沈め、ペイサーズがついに逆転に成功した。

3分半ぶりのキャブズの得点はアイソレーションから強引に仕掛けたレブロンのダンク。ここから集中を取り戻したキャブズと、なおも粘るペイサーズの攻防が続く。

ペイサーズは残り1分で105-109と突き放されターナーがアービングにスティールされる痛恨のミスが出るも、キャブズの攻撃をしっかり止め、アービングのジャンプシュートをターナーがお返しと言わんばかりにブロックショットで叩き落とす。こうして土壇場で踏み止まると、ジョージが遠距離3ポイントシュートを沈める。108-109の1点差になり、クイックン・ローンズ・アリーナは静まり返った。

ジョージにラストショットを打たせなかったキャブズ

キャブズはレブロンが先ほどのジョージと同じようにスクリーンプレーからの3ポイントシュートを狙うも外れ、20秒を残してペイサーズに最後の攻撃機会が回ってくる。託すのはもちろんポール・ジョージ。しかしキャブズは、ジョージがセットすると同時にマッチアップするJR・スミスにレブロンも加わるダブルチームを仕掛け、ジョージにボールを手放させる。

このパスを受けたCJ・マイルズは、ジョージにボールを戻す選択を探るも、そのコースはレブロンが抑えていた。残り時間がない中で自ら勝負に行くも対面するリチャード・ジェファーソンにプレッシャーをかけられ、体勢を崩しながら放ったラストショットが落ちてゲームオーバー。109-108、手に汗握る接戦を制したのはキャブズだった。

CJ・マイルズにとってはショックな結果となった。「最後はポールにシュートを託して勝ちたかったのが正直な気持ちだったけど、残り4秒では打つしかなかった。悪いシュートではなかったけど、決められなかった」と肩を落とす。

惜しくも初戦を勝ち切れなかったペイサーズだが、レギュラーシーズン終盤の好調をプレーオフにも持ち込み、王者相手にアップセットまであと一歩と迫った。エースのポール・ジョージの活躍はもちろん、3月に加入したランス・スティーブンソンの存在も利いている。「スマートな選択で攻撃を円滑にしようと試みた。そしてポールのプレッシャーを少しでも肩代わりするのが自分の仕事だ。今日はそれができたと思う」とスティーブンソンは語る。

第2戦は中1日を置いて17日、初戦と同じくキャブズのホームゲームにて行われる。