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『仮想プレーオフ・シリーズ』を乗り越え本戦出場へ

3年ぶりのプレーオフ進出に向け、ペイサーズ球団社長のラリー・バードは、ランス・スティーブンソンという『劇薬』をチームに投じることを決めた。ロッカールーム内の雰囲気が緩いと感じたエースのポール・ジョージも、メディアの前で公然と若い選手の姿勢を批判し、奮起を促している。

ペイサーズは4月6日のバックス戦に104-89で勝利。これで39勝40敗となり、同日試合が組まれていないヒートを上回り、東カンファレンス8位に浮上した。ブルズ、ヒートとの東7、8位争いを制するには1敗も許されない状況の中、上位のラプターズとバックスを相手に連勝できたのは大きい。

ペイサーズの地元インディアナの『Indy Star』が、4連敗を喫して重かったチームの雰囲気を変えた、アーロン・ブルックスの一言を伝えている。

4月2日に敵地で行なわれ、ダブルオーバータイムの末に130-135で敗れたキャバリアーズ戦の試合後、ベテランのブルックスはロッカールームで全員に聞こえるように、「俺たちのシリーズは今から始まる。このシリーズを乗り越えて、4月12日以降のシリーズに勝ち進もう」と話した。

ブルックスが言う4月12日とは、ペイサーズのレギュラーシーズン最終戦を意味する。つまり、ラプターズ戦からの5試合をプレーオフに勝ち進むための予選ととらえ、心身ともにギアを上げて臨もうとチーム全員に呼びかけたのだ。

ブルズ、ヒート、ペイサーズの熾烈な争いの行方は

ブルックスは2011-12シーズンこそ中国でプレーしたが、2007-08シーズンからロケッツ、サンズ、キングス、ナゲッツ、ブルズを渡り歩き、今シーズンからペイサーズに所属。183cmと小兵ながら2009-10シーズンには平均19.6得点を記録し、シーズンを通して最も成長した選手に贈られるMIP賞を受賞した選手だ。

ブルズ、ヒート、ペイサーズの中で最も不利なのは、3チーム間の直接対決の勝率が最も低いペイサーズ。もし最終戦を終えた時点で3チームの戦績が並べば、ペイサーズの東9位が確定する。

ペイサーズは今後の2試合で、すでに若手中心の起用に切り替えているマジック、セブンティシクサーズと対戦するものの、12日の最終戦では東5位を争うホークスと対戦する。残り試合の対戦相手を比較すれば、敵地でのラプターズ戦、東3位ウィザーズとの2試合、東首位に返り咲いたキャブズ戦を残しているヒートが最も苦しい。ただ、ヒートはレギュラーシーズン序盤の逆境を乗り越えており、ハッサン・ホワイトサイドとゴラン・ドラギッチを中心とするチームのモチベーションは相当高い。東7位のブルズは、ジミー・バトラーの奮起に加えて、ドウェイン・ウェイドも週末から復帰予定と報じられ、チーム内の士気も上がっているはず。

3チームともに、ブルックスが言う『プレーオフ前のシリーズ』を戦っている。果たしてどの2チームが三つ巴の争いを抜け出すのか、最終戦まで手に汗握るバトルが続く。