文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

強豪同士の『重い展開』を打破するロシターの働き

栃木ブレックスはアルバルク東京との東地区首位攻防戦を制し、上位チームからの連勝というミッションを達成した。2試合とも素早いトランジションをお互いに封じ、守りを重視する重い展開が続く中、いつも以上の存在感を示したのがライアン・ロシターだった。

2戦目の試合終了後の会見でロシターは「アルバルク東京は日本人選手も外国籍選手も素晴らしい選手が揃っていて、彼らとの対戦はハードなものになります。週末を通して連勝することができてうれしいです」とホッとした表情を浮かべた。

ロシターは第2戦で22得点16リバウンド(9オフェンスリバウンド)を記録したが、それでも自身の出来に満足してはいなかった。「今日はベストパフォーマンスではなかったと思います。インサイドでの2ポイントも落としてしまったし、普段は入れられるティップも外してしまいました。もちろんフリースローも良くなかったです。チームとして勝てたけど、個人的にはあまり良いパフォーマンスではなかったです」

確かにフリースローは6分の0と不調を引きずっている。それでも、そのミスを補ってあまりある、勝敗を左右するようなプレーを見せている。第4クォーター残り4分、同点の場面から決めた2本連続の3ポイントシュート。膠着状態から一気に抜け出し、勝利をグッと引き寄せる2発だった。

「勝利を引き寄せられるような、インパクトが与えられるパフォーマンスをしようと思っていました。自分にボールが集まったので躊躇せず打ちました」とロシターは自身のビッグプレーを振り返る。

チームメートに支えられて打ち続けた結果の勝利

それでも22得点、さらには重要な局面で『仕事』ができたのは、チームメートの助言のおかげだとロシターは言う。「チームの誰かが確率が悪くても、その選手が次に打つことに対して誰もためらったり、打つなとは言いません。外れても次のシュートは必ず入るから、自信を持って打っていけということを普段から言い合っています。今日もチームメートがそう言ってくれたので、自信を持って打てました」

実際、この日のロシターの2ポイントシュートの確率は26.3%と低調だった。仲間に支えられて打ち続けた結果の勝利だった。

ちなみにロシターのプレータイムは1試合平均30.6分と長い。これはリーグで8番目に長いプレータイムで、外国籍選手に限って言えば3番目の数字だ。

シーズンも終盤に差し掛かり、故障者を抱えるチームが多く出ている中で、フル回転しながらもケガをせずに続けられている現状については「竹内(公輔)選手や(ジェフ)ギブス選手の加入によって自分に休める時間帯を与えてくれているのでプレータイムに関しては全く問題ない。コーチがプレータイムや練習の量をコントロールしてくれているので、良い状態でできている」と心強い言葉を発した。

カレッジ時代から自信を持っていたリバウンドの力

数字に関して言えば、ロシターは現在リバウンドランキングでリーグ1位(13.6)。またオフェンスリバウンドでも2位(4.3)と得点以上に安定したリバウンド力は栃木の大きな武器となっている。

「大学の頃から、自分はリバウンドを買われて試合に出れていました。得点能力が高いチームメートがいたので、自分の役割としてはリバウンドが大きかった。集中してやっている仕事の一つです」とリバウンドのルーツを語る。アメリカのシエナ大学出身のロシターは4年間で1151リバウンドという、同大学歴代1位の数字を残している。

特にオフェンスリバウンドに関しては重要な位置づけをしている。「オフェンスリバウンドが得点に繋がればチームの勢いも出ますし、ファンの皆さんも盛り上がって一つの流れを作るプレーです。チームメートのシュートはよく入るのですが、外れればすべて自分が取るような気持ちで臨んでいます」

東地区首位の栃木は次節、東地区『3強』の一角である千葉ジェッツとの対戦を控える。そんな強豪との対戦に「自分たちは常にベストチームを相手にすることを望んでいる。来週の千葉戦もチャレンジして乗り越えていきたい」と慢心は見られない。

本当の意味での『B-REX』(バスケットボールの王者)になるために、栃木の、そしてロシターのチャレンジは続いていく。