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プレータイムが限られる中、八村塁に託される役割は?

現地時間4月1日に行われたバスケットボール全米大学選手権、NCAAトーナメントの準決勝で、八村塁の所属するゴンザガ大はサウスカロライナ大を破り、決勝に駒を進めた。その直後に行われた準決勝のもう1試合では、ノースカロライナ大(UNC)がオレゴン大を下している。

ゴンザガ大はエースのナイジェル・ウィリアムス=ゴスが好調をキープ。サウスカロライナ大との準決勝でもゲームハイの23得点を挙げている。フィールドゴールは16本中9本、さらには6アシストも記録し、77-73の勝利の原動力となった。

ただし、注目の八村塁はこの試合でプレータイムをもらえなかった。シーズンを通してローテーションの下位という序列で、主にプレーするのは勝敗が決した後。1試合平均のプレータイムが4.6分、2.6得点が彼の『現在地』だ。

同じルーキーでもザック・コリンズは、ベンチスタートながら主力としてのプレーを見せ、平均17.3分のプレータイムを得て10得点を挙げている。今年アーリーエントリーを表明すればドラフト指名上位候補とされるコリンズと八村との間には明確な差がある。UNCとの決勝でも八村のプレータイムは限られるだろう。

大逆転負けから1年、リベンジを期すUNCは再び決勝へ

タイトルが懸かった試合、重い展開のロースコアゲームが予想される。最後の最後まで分からない展開、というのも十分に考えられる。思い出されるのが昨年の決勝、UNCは残り6秒で超タフショットとなる3ポイントシュートを決めて同点に追い付いた。5分間で10点の差を詰める猛反撃で、「流れは完全にUNCもの」と誰もが思ったところで、ビラノバ大のクリス・ジェンキンスに3ポイント・ブザービーターを決められて敗れた。UNCはマイケル・ジョーダンを始めとする『レジェンドOB』の御前で屈辱的な負け方を喫したことになる。

歴史に残る名勝負は総力戦の末にビラノバ大の優勝に終わった。今年も同じ流れになることは十分に考えられる。接戦、消耗戦、総力戦──そうでなくとも相手は分厚い選手層を誇るUNCだ。

UNCとの決勝では、勝つにせよ負けるにせよ大差が付くとは考えづらい。重要な局面で八村に出番があるとすれば、接戦が続く消耗戦の中で、主力に一息つかせるための『つなぎ役』としての働きだろう。

プレータイムは短くても、その役割は決して軽いものではない。勝負どころで1つのフィールドゴール、1つのリバウンド、あるいはスタッツには何も残らないが、1ポゼッションを乗り切る『つなぎ役』としての働きをこなすことが、ゴンザガ大の全米制覇に大きな貢献となる。

ゴンザガ大はレギュラーシーズンを1敗で乗り切り、シーズン中には全米ランキング1位にも選出。4校しか選ばれない第1シードとして臨んだトーナメントでも勝負強さを発揮し、決勝に駒を進めた。ゴンザガ大の最高成績はベスト8。ファイナルフォー進出の時点で快挙だが、歴史に名を刻むには『あと1勝』が必要だ。

全米制覇が懸かった大一番、ゴンザガ大とUNCの決勝戦は日本時間の明日朝10時20分に試合開始となる。会場はNFLアリゾナ・カーディナルスの本拠地、フェニックス大学スタジアム。八村塁はこの年代では最高の環境でプレーする権利を得たと言っていいだろう。何よりも、熱狂のスタンドの光景を眺める権利は、彼がこの1年を戦って勝ち取ったものだ。