文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「相手が上位であればあるほどワンプレーが大事になる」

アルバルク東京との東地区首位決戦、まずは初戦を栃木ブレックスが取った。田臥勇太は6得点6アシスト。2点リードで始まった第4クォーターで4アシストを固め取り、この勝負どころで25-13とA東京を圧倒する原動力となった。

菊地祥平に続き田中大貴までケガで欠くA東京だったが、田臥は「油断する余裕はない」と相手を警戒していた。「メンバーが足りなくても非常に層の厚いチーム。相手がどういうラインナップであれ、しっかり準備して挑まないといけないので、自分たちもこの試合に向けてやることをまずやろうと話し合って入りました」

リーグを代表する強豪同士の対戦は、予想通りのシーソーゲームに。しかし、勝負どころで実力を発揮したのは栃木だった。大一番を田臥はこう定義する。「40分間の中で波があって流れがあって、相手が上位であればあるほどワンプレーが大事になる。しっかりとディフェンスから入って、細かいところをいかに最後まで続けられるかが勝負」

結果は田臥が言うとおり「最後まで続けられるか」を体現した栃木が競り勝った。

勝負どころで「いかにシンプルなことをやれるかが勝負」

第3クォーターの田臥はファウルトラブルに陥り、最初の45秒間をプレーしただけでベンチに下がったが、その分、第4クォーターには10分間フル出場。「ファウルが込んでしまって反省しながら試合を見ていましたけど、代わったナベ(渡邉裕規)がしっかり繋いでくれていたので」と田臥。40分間で変わりゆく両チームの波、試合の流れをしっかりと見極め、第4クォーターの頭からコートに戻った。

「第3クォーターは重い展開になって得点が伸びなかったので、もうちょっとアグレッシブに走らせながらゴールにアタックするっていうのを考えて、そのためにはディフェンスとリバウンドを頑張らなくてはいけないと。そういう局面になればなるほどいかにシンプルなことをやれるかが勝負だと思って第4クォーターに入りました」

栃木とA東京、どちらも戦術的にプレーするチーム。初戦は互いに速攻での得点が4点しかなく、重い展開が続いた。一瞬も気の抜けない攻防の中で、ポイントガードとしてチームを操った田臥はゲームメークについてこう語る。

「自分たちが得意なことを相手は阻止しようとしてやってくるので、そこでいかに受身にならずに打開しようとし続けつつ、その中でセットオフェンスが必要になった時にいかに精度良くやれるか。それもシーズン終盤に向けて、そしてチャンピオンシップに向けてまた精度を上げていかないといけないと思ってます」

快勝に終わった第1戦を振り返りつつも、「今日の良かった部分は伸ばして、反省すべきことを反省しつつ」と、今日の第2戦にも勝たなければいけないことを強調する。「相手よりも気持ちの面でもう一回チャレンジャーとして挑めるかどうかだと思います」

地区首位決戦第2ラウンドは昨日に引き続きブレックスアリーナで、14時10分のティップオフ。