文・写真=泉誠一

ボディブローのようにコツコツと点数を重ねてゲームハイ

同地区同士の対戦が再開されたBリーグ。混戦となっている西地区だが、日曜の試合でシーホース三河が一番乗りで地区優勝を飾り、1000万円を手にした。ワイルドカードを除き、西地区からチャンピオンシップへ出場できるクラブはあと1つ。2位の座を巡り4クラブが1ゲーム差でひしめき合う混戦状態が続いている。

西地区の2位を争う直接対決となった琉球ゴールデンキングスvs京都ハンナリーズ戦。初戦はルーキー田代直希が23点を挙げ、勢いに乗せて先勝した。しかし2戦目はディフェンスを修正して臨んだ京都に対し、田代の活躍は形を潜めて接戦を落とし、1勝1敗の痛み分け。1ゲーム差で上位にいた大阪エヴェッサが三河に連敗したことで、この3チームが22勝25敗で並ぶ結果となった。

敗れた琉球だったが、劣勢になった時でもコツコツとボディブローのようなシュートを決め、ゲームハイとなる22点を記録し、しっかりとゲームを作っていたのが喜多川修平だ。「練習中からそこは意識しているし、それが自分の仕事でもある」と自信を持って答えてくれた。どの試合もブレることなく、実直に自分の役割を全うする職人のような選手である。

どちらも気合い十分に臨んだ京都との2戦は、いずれもタフな戦いを強いられた。「初戦は岡田(優介)選手ら京都の3ポイントシュートが高確率で決まると勢い付けてしまうのでそこをケアし、ある程度は止めることはできました。しかし、インサイドの部分でコッツァー選手らにハッスルされてしまいました」と振り返る通り、京都のケビン・コッツァーに22点、マーカス・ダブにも14点とインサイドからの失点が目立った。

そこを修正して臨んだ2戦目だったが、「逆に今日は3ポイントシュートを確率良く決められてしまいました。他の部分に関しての遂行レベルは高かったと思います。ただ、第4クォーターで足が止まってしまい、単発なオフェンスになってしまったり、ミスから失点を許したり、14本のオフェンスリバウンドを取られてしまいました。細かなところをしっかりやっていかないと勝てないということを再確認できた試合でした」と敗因を挙げた。

あちらを立てればこちらが立たず……なかなかうまくは行かないものだが、それもまたバスケットの醍醐味である。

王者のメンタリティで進む、チャンピオンシップへの道

チャンピオンシップ進出を争う西地区において、琉球だけが持っている大きな利点がある。それは昨シーズンのbjリーグチャンピオンであり、プレーオフを勝ち進んだメンタリティが備わっていることだ。

タフゲームを勝ち抜く術を知る経験こそが、この苦境を乗り越える力となり、ライバルよりも長けている点と言えよう。そのためにも、「チームとしてまとまることが一番大事」と喜多川は言う。「今まで以上にチーム一丸となって戦っていけば、自ずと結果は付いてくる。そこはみんなで意識し合い、共通認識を持って戦いたいです」

その利点を生かすためにも、伊佐勉ヘッドコーチは日々の練習の重要性を説いた。「試合よりも、練習からインテンシティ(強度)のレベルを上げなければならない。さらにその中でのミスを見逃さないようにし、細かいところまで徹底的していることはbjリーグ時代から続けています。それが今、特に大事な時期に差し掛かっています」

練習通りに行った試合は自ずと勝利に直結する。だが、うまく表現できなければ自らを苦しめる状況に陥ってしまう。勝利のメンタリティとは、変わらぬルーティンを徹底しながら、自分たちのオプションを積み重ねていくことでもある。

次戦は1ゲーム差で追う2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズをホームに迎える。「ウチには毎回、多くのファンが駆け付けてくれます。ファンも一体となって、まずは初戦を取ること。そのためにも自分たちのバスケットをやることが大前提となりますし、やりきりたいです」

そう話す伊佐ヘッドコーチは、今日もまた練習から準備に余念がない。