[CLOSE UP]永吉佑也(川崎ブレイブサンダース)チームの危機をチャンスに変え『日本式ビッグマン』のあるべき姿を模索

2017/03/25
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=丸山素行、B.LEAGUE

スパングラーの離脱によりプレータイムが増加

川崎ブレイブサンダースはBリーグ最高勝率で中地区首位を独走し、リーグ一番乗りでチャンピオンシップ出場を決めた。圧倒的な強さを見せてはいるが、ライアン・スパングラーや辻直人といった主力選手がケガで離脱するなどチーム状況は万全ではない。特にBリーグでは外国籍選手の離脱は大きなダメージとなる。それでも好成績をキープできているのは、層の厚いベンチメンバーの活躍があったからだ。

特にセンター永吉佑也の活躍は目覚しく、スパングラーの穴を見事に埋めた。北卓也ヘッドコーチが「計算できる選手になった」と言うように、チームの危機が永吉の成長につながった。永吉自身も現状を好機と捉えている。「ライアンが抜けたのは確かに痛いですが、皆からも言われていますし、僕もチャンスだと思ってアグレッシブにプレーしています」

プレータイムが伸びたことでシュートに自信を持てるようになったと変化を語った。「試合に長く出ることによってシュートを打つ場面も増え、自信を持ってシュートを打てるようになってきました。実際、昨年よりも多く決めています」

「練習は誰よりもやっている自負があります」と語る永吉。北ヘッドコーチが「ウチの選手は全員真面目で、止めなければいけないぐらい」と評するチームの中でも、永吉の姿勢は目立つ。取材をした日の練習でも、他の選手がフットワークを流しながら取り組む中、永吉は全力でこなしていた。

スパングラーはリーグ全体を見てもトップレベルの実力の持ち主。NCAAファイナル4に進んだオクラホマ大の主力として活躍し、川崎へとやって来た。そのスパングラーとのレギュラー争いについて「ライアンは良い選手なので、ライアンより優ってる部分は何かを考えた時、具体的に言葉にして出すことはできないです」と永吉は謙遜する。いや、謙遜ではなく本当に見つからなかった感は否めない。

それでも、永吉は自分らしいやり方でチームに貢献する道を見いだしている。「ライアンよりは長くいるのでこのチームのみんなのことを理解してます。今が走る時だとか、ここは我慢する時だというのは、コート上で自分から発信していくようにしていて、チームの流れを把握してるつもりです」。川崎の芯の強さが感じられる言葉だ。

竹内ツインズ、太田敦也に次ぐ代表センターを目指して

永吉は2月に行われたイランとの日本代表国際強化試合に出場し、第3回重点強化合宿のメンバーにも選出されている。「代表で活躍するためにはBリーグでの活躍が必要だと常々思っています」と代表への意欲を語る。

これまでの日本代表のインサイドは2メートルを超える竹内兄弟、太田敦也が担ってきたが、この先いつまでも32歳の3人に依存してはいられない。日本が世界で戦う上で、一番の不利はビッグマンのサイズとパワーだ。

「竹内兄弟、太田さんの世代から後が伸び悩んでいるっていう指摘は、誰に対して一番言われてるのかというと僕じゃないかなと思ってます」と、永吉は日本人ビッグマンの台頭が求められる現状を正面から受け止めている。

世界を相手に戦うとなると198cmという身長は大きいわけではなく、むしろ『小さい』と呼ばなければいけない。その中で永吉は『日本式ビッグマン』の在り方を模索している。「大会に出た時も身長はどうしても劣ってしまうところで、日本人の良さである俊敏さを生かし、しっかり走れる選手にならないといけない」

その中でも特に課題となるのはリバウンド力だ。さらに言えばリバウンドを確実に取ることができればより日本の良さが際立つという。「接戦でリバウンドを取られて負けてしまった試合がいくつもありました。ビッグマンがリバウンドをしっかり取れれば日本の早い展開に持っていけます」

Bリーグの使命の中に「世界に通用する選手やチームの輩出」がある。とりわけ『日本人ビッグマン』の育成が難しいと言われる状況において、永吉の成長はそのミッションに直結する。彼が川崎で確固たる地位を築いた時、日本代表のセンターポジションに永吉の姿があることだろう。