文・写真=丸山素行

『アグレッシブ』、『インテンシティ』でKBLの下部チームを撃破

3月20日と21日、男子日本代表は第3回重点強化合宿を行った。テクニカルアドバイザーのルカ・パヴィチェヴィッチは選手の体調も考慮して強度を下げ、今までに指導した内容の確認をメインとして今回の合宿を実施した。

来週の合宿メンバーも含めた代表候補30人の中で最年少、東海大学1年の平岩玄は、「プロの選手たちはシーズン中なので仕方がないことだと思います」と言いながらも、軽めの練習メニューに物足りない様子。ただ、そんな練習への取り組み方にプロ選手『らしさ』を見いだしてもいる。「強度が軽い中でも重要なところはしっかり押さえながらやってる。そこがプロの選手たちですね。そのアグレッシブさは大事です」

その平岩はU-24のカテゴリーでもルカコーチの指導を受けている。「ルカコーチはどのカテゴリーであっても強調することは一貫していて、どの世代にとっても大事だということが分かりました」と、年代を問わず一貫したバスケットが徹底されていると語る。

平岩は先週、日本学生選抜として韓国遠征に帯同し、KBLの下部チームを相手に3勝2敗で勝ち越す結果を収めている。この『武者修行』の収穫をこう語った。「相手によって引き出しが違うので、教わったことをそのまま試合に使えないところは難しかったです。でも、考えを理解してる(馬場)雄大さんが一緒に試合に出て、コート上でうまく助けてもらってチームが相手にアジャストできたのが収穫でした」

またこの遠征では、ルカコーチがテーマに掲げる『アグレッシブ』、『インテンシティ』が効果を発揮したそうだ。

「点差が離れた時やチームが苦しい時に、今まで教わってきた『アグレッシブ』とか『インテンシティ』を上げていくなど原点に立ち返ったことで、流れが良くなりました。ボールもうまく回ってディフェンスもハードにできて、点差がどんどん詰まって、それで最後は粘って勝てるという試合が多かったです。そこはチームとしてプラスになったし、困った時はそれをやればいいんだと分かりました」

『走れるビッグマン』として日本代表の今後を担う存在に

199cm102kg、堂々たる体格を持つ平岩は、代表で求められる役割をこう説明する。「オフェンスの面ではピックしてロールしてを繰り返します。ディフェンスではポストファイトして、そこから速攻で先頭を走ります。役割がはっきりしてるので、それをしっかり遂行していくやりやすさはあります」

100kgを超すビッグマンが速攻の先頭を走ることは決して容易ではない。それでも平岩は走力に自信を持っており、「日頃から大学でも走り込みはしています。5番のポジションはバテたら人数をかけて代わればいいとルカが言うように、1人で戦うわけではないので、出てる間はバテるまでやります」と意気込む。

先日、八村塁が日本人として初めてNCAAトーナメントのコートに立った。同じ年齢の八村の快挙に「立場は違いますが同級生なので、こちらは日本で負けないように頑張ろうと思います」と刺激を受けている。

代表の強化には若い世代の底上げが重要な要素となる。平岩は大学1年という若さと、その見事な体躯を武器に日本代表の底上げを担う存在となる。

1月のオールジャパンでは東海大学の一員としてシーホース三河と対戦。アイザック・バッツと迫力満点のマッチアップを繰り広げた。