『最後のファイナル』再現の川崎ブレイブサンダースvsシーホース三河、想定外の打ち合いを制した三河が27点差で圧勝!

2017/03/18
Bリーグ&国内
24

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

桜木と比江島、リベンジに燃える『主役』が躍動する

旧NBL最後のファイナルのカードが再現されるということで注目されたこの試合、ゴールが壊れて試合開始が30分以上遅れたことに続き、予想外の出来事があと2つ続いた。一つは互いに相手の出方をうかがう慎重な試合展開になるとの予想が外れ、ハイテンポな打ち合いになったこと。もう一つは実力伯仲の両者の対戦かと思いきや、シーホース三河が終始圧倒したということだ。

試合開始直後は、ルーズボールに激しく飛び込む川崎ブレイブサンダースがペースを握ったかに見えた。こぼれかけたボールをニック・ファジーカスから託された篠山竜青のレイアップで先制。インサイドでアイザック・バッツがポストプレーからファジーカスを押し込む場面も、素早いフォローでボールを奪う。そして長谷川技の3ポイントシュート、ファジーカスの得点で開始3分で10-4とリードする。

だが、ここから先はずっと三河の時間帯。ファイナルで逆転負けを喫した悔しさはどの選手も抱えており、ここから攻守に100%の集中力を発揮した。目立ったのは桜木ジェイアール。いつもはインサイドでの老獪なポストプレーで勝負する桜木が、10歳若返ったようにダイナミックなドライブを連発。川崎はこの予想外の攻めに対応できず、三河に主導権を譲り渡した。

ケガの橋本竜馬に代わり先発した狩俣昌也のスティールから比江島慎がタフショットを沈めて三河が逆転。桜木は2本連続の3ポイントシュートも決め、金丸晃輔も淡々とミドルシュートを決め続ける。バッツはファジーカスに激しく当たり続けてリズムを狂わせ、第1クォーターの後半に2つ目の個人ファウルを犯すも、その後は自制して役割を全うした。

第2クォーターも比江島の3ポイントシュート、桜木の連続得点で三河が7-0のラン。川崎は一度ベンチに下げたファジーカスを1分半休ませただけでコートに戻し、辻直人が3ポイントシュートを決めるも、三河はセカンドユニットになっても勢いが衰えない。川崎がゾーンディフェンスを敷くも、百戦錬磨の柏木真介がすぐさま攻略。53-35と三河の大量リードで前半を終えた。

後手に回った川崎に「追い付かなきゃ」の焦り

後半に入り、川崎はボールの動きが向上するも、なおも三河の勢いは落ちない。ファジーカスにボールを預ける攻撃の組み立ての時点で比江島慎が狙いすましたスティールを決めて相手のリズムを狂わせる。波に乗る比江島は守備に定評のある長谷川との1on1をあっさり制してドライブレイアップを決めるなどチームを力強く牽引した。極め付けは狩俣のスティールからのファストブレイクで比江島がキレ味抜群のダンク、第3クォーター残り4分の時点で68-43。ほぼ試合を決めてしまった。

第4クォーターこそややペースを落とした三河だが、それでも川崎に反撃のきっかけを与えることなく、しっかりと試合をコントロール。4つのクォーターすべてで川崎を上回り、92-65と完璧な勝利を収めた。

川崎にとってはシーズン7度目の黒星。ただ、これまでは年末のアルバルク東京戦での14点差が最も大きな負け。27点差の大敗はあまりにも『らしく』ない。この理由について北卓也ヘッドコーチは「前半でリードを保たれて後手後手になり、追い付かなきゃいけないという気持ちでプレーが焦ってしまった。試合巧者の三河に対して、粘り強くやらなければいけない」とメンタルが乱れてしまったことを敗因に挙げた。

12得点を挙げた辻だが、やはり反省の言葉ばかりが出た。「ノーマークを作る、ニックに打たせるなど、自分たちのやりたいオフェンスができず、ボールが孤立してしまった。試合巧者の三河のほうが上手だった」

勝利にも緩まず「チャレンジャーの気持ちを忘れずに」

大勝した三河にとっては、昨シーズンの屈辱を払拭するチーム一丸の勝利。桜木ジェイアールの20点を筆頭に、比江島が15得点、金丸が13得点、ギャビン・エドワーズが12得点、森川正明が11得点と、5人が2桁得点を記録。得点は3に終わったバッツもインサイドの守備で圧倒的な存在感を見せたし、狩俣は橋本の代役をきっちりと務めた。ベンチスタートの柏木、長谷川智也も自らの役割を果たして勝利に貢献している。

攻守にフル回転した比江島は会心の勝利をこう振り返る。「去年の悔しい負け方があったから気持ちが入った部分はあったかもしれないです。オフェンスも良かったですが、ディフェンスのほうが大きかったです。ヘルプに行く時はしっかり行って、ローテーションもして。今日はうまくやれました」

鈴木貴美一ヘッドコーチは「ファジーカスを中心として周りを生かすバスケットをする川崎に対し、やらせていいところ、やらせてはいけないところを明確にしました」と『川崎対策』を説明する。「ファジーカスは手首が柔らかくて非常に得点能力があり、全部を抑えるのは無理な話です。場所によって『ここはいい』、『ここはやらせてはダメ』というやり方をしました。それでも点数を取れる選手ですが、今日は調子があまり良くなくて助かりました」

また、ゲームを作った狩俣、勝負どころで貴重な得点を重ねた森川については「どちらも今シーズンに合流したばかりの選手ですが、ゲームをこなすにつれてチームに馴染んで、思い切りの良いプレーが出ています。強い川崎に対してしっかりできた」と、その貢献を称えた。

ただ、明日もまだ試合がある。鈴木ヘッドコーチは「東芝さんの力はこんなものじゃない」と、以前のチーム名をポロリとこぼしながらも、「明日はしっかりリセットして、チャレンジャーの気持ちを忘れずに戦います」と語った。