文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

激しい守備からスピードで振り回してイランを圧倒

今シーズンになって最初の日本代表の試合、イラン代表を迎えての国際強化試合が行われた。

日本代表のスターターは富樫勇樹、比江島慎、小野龍猛、アイラ・ブラウン、竹内公輔。立ち上がりこそ体格に勝るイランに当たり負けするシーンも見られたが、第1クォーター半ばに馬場雄大、太田敦也、田中大貴、橋本竜馬、竹内譲次と次々に選手を投入すると流れが変わる。相手ビッグマンを太田がペイントエリアから締め出し、橋本が前からキツいプレッシャーをかけて、守備からリズムをつかんでファストブレイクを出す。

『走り勝負』になれば日本が優位。鋭い出足でスティールに成功した馬場がワンマン速攻からダンクシュートを叩き込んで12-12と追い付くと、田中の速攻も飛び出す。最後は再びスティールを決めた馬場がファウルで止められ、このフリースローを決めて17-14とリードして第1クォーターを終えた。

第2クォーターに入りイランが一度は巻き返すも、長距離移動によりコンディションに難がある上、3選手が前半20分フル出場するなどスターターを引っ張っため、素早いトランジションの日本のペースに巻き込まれると足が止まってしまう。

こうなると富樫がイキイキと躍動し始める。立ち上がりにはあまり決まらなかったピック&ロールからの展開がハマり、インサイドもアウトサイドもバランスの良い攻めを演出。人もボールも動く日本のスピードに振り回されたイランは集中も切らしてしまいミスを重ねる。第2クォーター残り41秒にはリスタートのボールをスティールし、竹内譲次がファウルを受けながらもシュートを沈めてバスケット・カウントの3点プレー。38-30と差を付けて前半を折り返した。

ハーフタイムを挟んでも日本の優位は変わらなかった。馬場がギャンブル気味のスティールを連続で成功させ、ブラウンが強引なドライブで相手守備網を破壊する。残り6分52秒、富樫がスクリーンを使わず単独でも、突破する姿勢だけ見せて相手を後ずさりさせて3ポイントシュートを叩き込めば、ディフェンスリバウンドを押さえたブラウンからの速攻で馬場が再びダンクを決め、50-33とリードを広げる。

イランの追い上げムードをかき消す3ポイントシュート攻勢

本来であれば格上のイランも、負けてはいられないとギアを上げて連続得点。51-41と10点差まで詰め寄るが、ここから日本の3ポイントシュート攻勢が始まる。田中、富樫、小野の3ポイントシュートで60-43と再び17点差まで突き放した。

62-48で迎えた第4クォーター、日本はローテーションを続けながら常に2桁のリードをキープ。ビハインドを詰めようと強引に来るイランの攻めにもきっちり対応し、付け入る隙を与えなかった。

最後までしっかりとゲームをコントロールした日本が85-74で勝利。日本代表は新体制での白星スタートを切った。暫定ヘッドコーチを務めるルカ・パヴィチェヴィッチは「強いバスケットボールをすることができた」とチームの出来を称えたものの、ディフェンスでは「一貫性が必要」と課題を語った。

オフェンスリバウンドで優位に立ち、シュート試投数でイランの52本に対し63とポゼッション数で大きく上回った日本だが、イランの2ポイントシュートの成功率は61.9%(42本中26本)と高く、この部分のディフェンスが機能していないことを指揮官は指摘したのだろう。崩されかかると粘れず、淡泊にイージーシュートを決められる場面が目立ったことは確かだ。日本の3ポイントシュートは52.2%(23本中12本)と当たっていた。これはチームとして良い形を作った結果だが、このシュートタッチが悪かったとすれば、これほど簡単な試合にはなっていなかったはずだ。

先発ポイントガードに抜擢された富樫は、「僕自身、久しぶりの代表ということで楽しみにしていた」という試合で5本の3ポイントシュートを含む17得点を挙げ、その得点能力を存分にアピール。「打てる時は打てというコーチの指示だったので、しっかり打てた。明日勝たないと意味がないので、明日もしっかり戦って勝ちたい」と語った。

明日はイランとの第2戦。今日と同じく北海きたえーるにて、15時ティップオフ。