文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

インサイドの勢いを削ぎ、ゾーンを攻略した桜花学園の完勝

『JX-ENEOSウインターカップ2016』大会4日目、桜花学園(愛知県)と岐阜女子(岐阜県)の『2強』が順当に勝利して準々決勝へと駒を進めた。

桜花学園は開志国際(新潟県)と対戦。立ち上がりこそ188cmのセンター、シラ・ソカナ・ファトージャが得点とリバウンドで強さを発揮するが、最初は競り負けていたセンターの梅沢樹奈がスクリーンでファトージャをペイントエリアの外に押し出す。ファトージャはフィジカルはあるが細かいフットワークがなく、逆に梅沢は押し負けるシーンはあっても巧みにボールを引き出すポストプレーで相手のゾーンディフェンス攻略の起点となった。

梅沢が相手の勢いを削いだ後、佐古瑠美の3ポイントシュートからオフェンスに勢いが出始める。エースの馬瓜ステファニーのシュートタッチは悪かったものの、ポイントガードの山本麻衣が21得点を記録するなど、どこからでも点の取れる強みを発揮した。第1クォーターは21-14と接戦だったが、第2クォーターは22-8と圧倒。後半も勢いを止めることなくリードを広げ、78-55で勝利した。

井上眞一コーチは「相手の1-3-1のゾーンに対してウチはシュートが打てていた。崩されても相手が変えてこなかったので、こちらはスムーズなゲーム運びができた」と勝因を語る。ただ「まだまだ視野が狭い」と明日以降に向けた課題もしっかりと見つけている。

その井上コーチは、自分たちの試合が終わった直後に始まったライバル、岐阜女子の試合を第1クォーターだけコートサイドで眺め、「相変わらず強いね」との感想を残し会場を後にした。

岐阜女子は鉄壁のディフェンスで八雲学園を封じる

その岐阜女子は、八雲学園(東京都)と対戦。序盤から素早いパスで相手のディフェンスを揺さぶり、インサイドへの合わせでイージーシュートのチャンスを作り出していく。シュートタッチ自体は必ずしも良くなかったが、ルーズボールやリバウンドにもしっかり飛び込み、試合の主導権をがっちりと握った。

182cmのディヤイ・ファトーあるいは190cmのバイ・クンバ・ディヤサンの長身センターに相手ディフェンスの意識を集中させ、できたスペースをタイミング良く突くオフェンスが機能。八雲学園は素早いトランジションで挽回を試みるが、岐阜女子のディフェンスに阻まれる。

第1クォーターこそ14-11と競ったスコアとなったが、岐阜女子はシュートタッチが戻るにしたがって、じわじわと点差を広げていく。第3クォーター残り4分35秒、玉置愛理がスティールからのワンマン速攻を決めて46-25と20点差が付いたところで、八雲学園の選手たちは集中力を切らしてしまい、一気に突き放された。

69-51で岐阜女子が勝利。前日の試合で99点を奪った八雲学園の得点力を、ほぼ半分の51点に抑えたことが勝因となった。安江満夫コーチは「かなりの距離があっても決める力を持っているので、シュートエリアを2メートル後ろで意識させた」と対策を明かした。

前日に29得点を挙げた相手のシューター、吉田舞衣を第3クォーターまでわずか3点と封じたのは石井香帆。相手の最も怖い選手をしつこいディフェンスで封じるとともに、ゲームハイの23得点を記録して勝利の立役者となった。石井は「絶対決めさせないという気持ちでした」とシューター同士のマッチアップを振り返り、「ディフェンスで守り切ったからこそ、積極的にドライブに行けました」と攻守が噛み合った自身のプレーを振り返った。

前日の出来が悪く、安江コーチから「逃げててどうするんだ」と喝を入れられたという石井だが、この日は「ディフェンスで頑張れる選手」と称えられた。ともに8強進出を果たした桜花学園と岐阜女子の対戦に期待が高まるが、石井は「先のことを考えていてはダメだと思うので、一戦一戦やっていきます」と気を引き締めた。明日の準決勝では、桜花学園が大阪薫英女学院と、岐阜女子が昭和学院と対戦する。

桜花学園 78-55 開志国際
大阪薫英女学院 71-44 浜松開誠館
昭和学院 91-55 札幌山の手
岐阜女子 69-51 八雲学園

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