文・写真=鈴木栄一

敵地での連勝も、指揮官は終盤の低調な出来に不満

土曜の第1戦、栃木ブレックスは前半を終え1点リードを許すも、後半早々の猛攻で2桁のリードを奪い、その後は安定の試合運びで点差を維持して80-69で琉球ゴールデンキングスとの第1戦を制した。

そして迎えた11日の試合、栃木は第1クォーターに18-11と先行する。そして第2クォーターも引き続き堅いディフェンスで琉球のオフェンスを止めると、アウトサイドシュートを効果的に沈め、攻守で琉球を圧倒。前半で42-24と大きく突き放す。

後半に入ってもリードを維持する栃木だったが、第4クォーター残り約6分で16点リードの状況からホームの大声援を受けた琉球の反撃を受け、残り1分を切って6点差にまで迫られる。だが、最後はしっかりと踏ん張って琉球の勢いを止め、敵地で2連勝を収めた。

栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマン、「沖縄に来て連勝できたことは満足しているが、第4クォーターの終わり方には満足していない」と総括。「第4クォーターのフィールドゴールは15本中3本、3ポイントシュートは5本すべて失敗。また、前日はターンオーバーが7つだったのが、14本も喫してしまった。リバウンドで56-32と差をつけていれば、7点よりもっと大きな点差で勝ててもよいので修正していきたい」と続けた。

そして、「後半で46得点を取られたのは初めてで、琉球の追い上げは素晴らしかった」と相手を称えた一方で、「相手のディフェンスがプレッシャーを上げてきた時に、どう対応していくか。リードを保ったままいかに勝ち切っていくか、これは改善していかないといけない」と、勝って兜の緒を締めた。

前述の通りリバウンドで圧倒した栃木だが、ライアン・ロシターが17リバウンド、竹内公輔が12リバウンド、ジェフ・ギブスが10リバウンドとビッグマン3人が揃って2桁リバウンドをマーク。この試合、このビッグマン3人が一緒にコートに立つ時間も少なくなかったが、リーグ随一の高さとなるトリプルタワーの起用法についてヘッドコーチはこう説明する。

「ビッグラインアップと(スピード重視の)スモールラインアップ、両方を使えるようにしていきたい。ビッグラインアップの時は、相手のスピードに対抗できるよう守備ではゾーンを使うが、後半については激しさを欠いた。ただ、(ケガで欠場中の)トミー・ブレントン選手が戻ってくれば、彼には他のビッグマンより3番(スモールフォワード)の適正があります」。ブレントン復帰でより強力な戦術オプションとなってきそうだ。

栃木では田臥勇太がシーズンハイの22得点をマーク。ビッグマンへの守りに琉球が意識を集中する状況で、その隙を的確についてシュートを次々と沈め、勝利の立役者となった。

6連敗の琉球、伊佐ヘッドコーチはブースターの声援に感謝

一方、ホームでの連敗が6に伸びてしまった琉球の伊佐勉ヘッドコーチは、「あれだけ離されてもお客さんが最後まで諦めないでいれくれました。タイムアウトを取ってまで、そのことは選手に伝えました」と終盤の追い上げは観客の声援に助けられたものと感謝の言葉を述べ、こう巻き返しを誓った。

「アグレッシブにプレーし続けることで流れが変わる。テンポアップのために走り続け、強引にでもアタックを続けてくれた金城(茂之)のプレーに教えられました。毎試合、期待してくれているお客さんのためにも、早くお客さんが笑顔になるゲームを見せたい。そのためには、練習でやってきたことを試合でやり続けるしかない」

指揮官に称えられた金城も「後半は自分たちのバスケットボールができました。連敗するのはもどかしいですが、みんなどうにかしようと思っており、誰一人としてあきらめていません。後半のバスケを、大事なものをつかむきっかけにしていきたい。普段の練習からこれを植えつけていくことができれば戦っていけます」と、質の高い練習をいかに継続していけるかを反撃の鍵に挙げた。