安齋竜三

貫いた「変化がないとチームは発展していかない」という信念

本日、宇都宮ブレックスは安齋竜三ヘッドコーチに関する記者会見と題し、栃木県庁で会見を行った。

登壇した安齋コーチは開口一番に「今シーズン限りでヘッドコーチを退任させていただくことになりました」と語った。「選手からアシスタントコーチ、ヘッドコーチとここのクラブでお世話になり、スポンサーさんやファンの皆さんに支えられた15年間だったなと思って感謝しています」

突然の辞任発表となったが、昨シーズンのファイナルに敗れた時点でヘッドコーチ職を辞する考えは頭にあったという。それでも、鎌田眞吾GMに背中を押され、覚悟を持って最後のシーズンに臨んだ。「昨シーズンまで4年間をかけて作り上げて、そこで一区切りつけようと思っていましたが、鎌田GMのほうから『まだ優勝するチャンスもあるし、一緒に頑張ろう』という話をいただいて、もう一年ということでした」

Bリーグ屈指の強豪という確固たる地位を築いた安齋だが、優勝にあと一歩届かずに自身のやり方に迷いが生じたという。そして、「変化がないとチームは発展していかない」という信念もあり、今回の決断に至った。「選手たちもどう思っているのかなと考えるようになりました。自分がやっているバスケットに疑問が生じてきたというか、自分のバスケット観でなかなか新しいものが出てこない。そういう部分で厳しくなってきたので、もう一回考え直す時間がほしいと思い、最終的に決断しました」

最後と覚悟を持って臨んだシーズン、宇都宮は初年度以来となる2度目のリーグ制覇を果たし、安齋自身は最優秀ヘッドコーチ賞を受賞した。有終の美を飾った安齋は清々しい表情で宇都宮に別れを告げた。

「僕の中ではずっと決めていて、ブレアリでホーム最終戦の時も『これで最後だな』と思ったり、ずっと勝てましたがチャンピオンシップも負けたら終わりという中でスッキリした感じでやれていました。応援してもらえるチームを作ることが自分の責任だと思っていたので、そこはある程度作れたと感じています。クラブのためにやり切って終わろうという感じだったので、やり切れたと思うし、未練はなくスッキリした気持ちです」