文=丸山素行 写真=©B-CORSAIRS/T.osawa

ホームアリーナ初戦、横浜は終盤に失速して連勝が3でストップ

歴史的開幕戦からちょうど1カ月が経過したBリーグ。横浜ビー・コルセアーズは、メインアリーナである横浜国際プールでの開幕ゲームを迎えた。

しかし、横浜国際プールでの初得点を記録したのは新潟アルビレックスBB。五十嵐圭からパスを受けたダバンテ・ガードナーの3ポイントシュートだった。直後に川村卓也とのピック&ロールで抜け出したジェイソン・ウォッシュバーンの豪快なダンクが決まり、序盤からアリーナはボルテージ全開となった。

第1クォーターはクリント・チャップマンの勢いあるオフェンスを止められず、ミドルシュートにダンクに3ポイントシュートにと大暴れの11点で、横浜が14-19とビハインドを背負う。第2クォーターに入るとその横浜をアクシデントが襲う。キャプテンの山田謙治がヒザを痛め、そのままプレーを続行できなくなってしまったのだ。

それでも横浜は残り6分のところで相手チーム5個目のファールを誘い、フリースローで着実に得点を重ねていく。互いに守り合いの展開になる中、川村卓也がドライブからファールを誘い、ストップジャンプシュートを沈め3点プレーとなるバスケットカウントで逆転。

続けて細谷将司が素早いトランジションから持ち込みディフェンスを引きつけ、ノーマークとなったウォッシュバーンのダンクが決まる。ディフェンス合戦でロースコアの展開の中、横浜が31-28と逆転して前半を終えた。

後半に入ると打って変わり激しい点の取り合いに。ファイ・パプ月瑠の軽やかなポストプレー、高島一貴がアーリーオフェンスからミドルシュートを決めて点差を広げるも、遥天翼のドライブレイアップ、3ポイントシュートと新潟の反撃を浴びる。極めつけはチャップマンがファールを受けながらのアリウープをねじ込んだシーン。逆転を許したにもかかわらず横浜ブースターが大歓声を上げてしまうほどのビッグプレーだった。

一進一退の展開が続く中、ウォッシュバーンがインサイドで強さを見せて連続得点を奪った横浜が、59-55とわずかにリードして第3クォーターを終えた。

ハイレベルの打ち合い、勝負を分けた幻の4ポイントプレー

互いにインサイドを攻め、ハイレベルな点の奪い合いとなった最終クォーター。スクリーンを使い、マークを振り切った佐藤公威が連続3ポイントシュートを沈めれば、細谷も負けじと高確率で3ポイントシュートを返す。

残り1分35秒、ジェフリー・パーマーが3ポイントシュートを沈めて、73-74と横浜が1点差まで詰め寄る。しかし、その後のポゼッションでターンオーバーを犯してしまい、ガードナーと五十嵐圭にフリースローを与えてしまう。

残り33秒、73-78と窮地に追い込まれた状態でタイムアウトを取った横浜は、川村にボールを託す。その川村がエースの期待に応え、不十分な体勢ながらも3ポイントシュートを沈め、さらにはファールも獲得し4ポイントプレーとなるビッグプレーで、横浜ブースターの興奮は最高潮に達した。

しかし、ここで「3ポイントラインを踏んでいた」との物言い。VTR判定の結果、ラインを踏んでいたことで75-78、フリースロー1本からの再開となる。この中断でリズムを失ってしまったのか、川村がこのフリースローを落としてしまう。リバウンドをしっかり拾った新潟がその後のファールゲームを冷静に対処し、初の連勝をモノにした。

新潟の庄司和広ヘッドコーチは連勝は素直に嬉しいと語り、勝因について説明した。「特にスティーブンがディフェンスで頑張ってくれて彼もステップアップしました。また、日本人選手が少しずつですが得点に絡めるようになってきたことは収穫」

青木勇人ヘッドコーチは3748人の観客の前で結果を残せなかったことが悔しいと会見で伝えた。「いい勝負をしたとしても勝ちをプレゼントできなかったことを含め正直に悔しい。勝つチャンスはあったので、そこをモノにできなかったのがもったいなかった」

旧bjリーグを含め過去最多入場者数を記録した横浜のホーム開幕戦。結果は別としても、白熱したシーソーゲーム、豪快なダンクを含む好プレーの数々に観客も大満足の一日となったに違いない。今日も手に汗握る試合でブースターを沸かせてほしい。