井上宗一郎

「ビッグマンが1人いなくなった分、自分の仕事ができるチャンスだと思った」

チャンスは突然訪れることもあるが、それを生かせるかどうかは自分の準備次第だ――。

井上宗一郎はインカレ終了後の12月末にサンロッカーズ渋谷とプロ契約を結んだ。201cmのサイズを持ちながら外角シュートも打つことができるパワーフォワードだが、同ポジションは大黒柱のジョシュ・ハレルソン、平均20.5得点を挙げているジェームズ・マイケル・マカドゥ、そしてマックス・ヒサタケと層が厚い。

またチームは強豪ひしめく東地区の4位を走っているため、チャンピオンシップ出場に向けて一戦一戦が大事になってくる。そのため、井上にはなかなかベンチ入りのチャンスが巡ってこなかったが、京都ハンナリーズとの水曜ナイトゲームでその時が訪れた。

この試合では同じく12月末に特別指定選手として加入した小川麻斗も初めて出場した。伊佐勉ヘッドコーチが「小川を今日出すことはだいぶ前から決めていましたが、井上はジョシュがいたら入れなかった」と明かしたように、ハレルソンが濃厚接触者の調査となり欠場したため、井上もベンチ入りすることとなった。

その井上は第2クォーター頭からコートに送り出されると、身体を張ったディフェンスにリバウンド、そして3ポイントシュートとさっそく結果を残した。ハレルソンに代わって先発はヒサタケが務めたが、「前半に出したらやってほしい動きをしてくれて、シュートも当たっていたので、今日はヒサタケよりも井上かなとコーチ陣で話していました」と伊佐コーチが語ったように、井上はオーバータイムの5分間はずっとコートに立ち続け、試合を通じてプレータイムは20分に伸び、3ポイントシュート3本成功の11得点2リバウンド1アシストを記録して、上々のデビュー戦を飾った。

井上は試合後「ジョシュ・ハレルソン選手の代わりにロスターに入れてもらったんですが、ビッグマンが1人いなくなった分、自分の仕事がしっかりできるチャンスだと思いました」と振り返った。「自分の仕事はインサイドで身体を張ることもそうですし、3ポイントシュートが得意なのでチームから来たパスをしっかり決め切ることが今日の課題だったので、それをクリアできて良かったです」

井上宗一郎

「プロ契約をしてもそう簡単に試合に出られないことは最初から分かっていた」

2017-18シーズンにはライジングゼファーフクオカで、昨シーズンは三遠ネオフェニックスで特別指定選手としてBリーグは経験しているが、11得点は井上にとってBリーグでのキャリアハイとなる。

前が空けば積極的に3ポイントシュートを狙い、試投数はベンドラメ礼生の9本に次ぐ7本となった。井上は言う。「昨シーズン、三遠ネオフェニックスにいた時に、打てる場面で打たないで『なんで打たないんだ?』って言われました。せっかく作ってもらったチャンスを自分で潰してしまうのはもったいないことなので、そのダメな経験を生かして今回はシュートを狙っていこうと思い、打ちました」

伊佐コーチも「チームメートがしっかりワイドオープンを見つけてくれて、そこをまず打ち切れた。しかも、決め切ったというのはルーキーらしからぬ爪痕を残したと思います」と井上の積極的な姿勢を称えている。

デビュー戦で勝利に貢献するインパクトを見せた井上だが、先にも触れたように、SR渋谷加入後はなかなか試合出場のチャンスを得られなかった。しかし、「12人しかベンチに入れないということもあって、その中で特別指定の麻斗と僕がいて14人なので、プロ契約をしてもそう簡単には試合に出られないことは最初から分かっていました」と言う。

その上で「試合に出た時に自分がどれだけ準備できているかがカギだった」と続けた。「先輩の田渡(修人)さんやベンドラメさんも自分によく声を掛けてくれて、そのおかげでしっかりと準備をして試合に臨むことができました」

そして、Bリーグでの出場経験はあってもプロとして試合に出たのは今回が初めてだ。「プロはお金をもらってやっているわけで、自分が結果を残せなかったら終わりというわけではないですが、自分もそのぐらいの覚悟で試合に向かおうと思っていたので、自信というか安心した気持ちはあります」

大黒柱欠場というチームのピンチをチャンスに変えてしっかりとモノにした井上。日本人ビッグマンとしてここからどんな選手に成長し、チームの勝利に貢献していくのか楽しみだ。