マイルズ・ブリッジズ

速攻の先頭を走り『使われる』フィニッシャーとして輝く

26勝22敗と勝ち越しているホーネッツは、ゴードン・ヘイワードを中心とし、派手なプレーで観客を魅了するラメロ・ボールや、勝負強い3ポイントシュートを武器に得点していくテリー・ロジアーなど、オールラウンドな活躍をする選手を集め、バランスの良いオフェンスで勝負するチームになっています。その中で予想外にエースとしてチームハイの20.1得点を稼ぐマイルズ・ブリッジスは、オールスターに選ばれておかしくないプレーを見せています。

2018年のNBAドラフト12位指名のブリッジスは、典型的なポテンシャルタイプの選手で、パワーとスピードを併せ持つウイングとして、豪快なダンクでハイライトプレーを連発するものの、スキルや戦術面の粗も目立ち、特にフィニッシュワークに課題を残す選手でした。3年目となった昨シーズンは、ホーネッツがドラフトやフリーエージェントで主役となれる選手を獲得していったこともあり、ベンチからの起用がメインのロールプレイヤーに留まるかと思われました。

それがシーズン終盤にケガ人が増えたことでスターターになると、それまで不安定だった3ポイントシュートを安定して決めるようになり、ハイスコアを連発。これで自信を深めたのか、オフにチームから提示された4年6000万ドル(約68億円)の契約延長オファーを断り、自身の価値がオールスターレベルであることを証明するかのように、今シーズンも好調を維持しています。

ブリッジス最大の特徴はパワフルなドライブからの豪快なダンクにありますが、3ポイントシュートに自信を深めたことで、ドライブを警戒するディフェンスに対して適切なプレー選択ができるようになりました。ステップバック3ポイントシュートも打つようになるなどプレーに幅が出て、ドライブ一辺倒ではなくディフェンダーとの駆け引きを楽しむようになっています。

ディフェンダーを前後に揺さぶることができるようになり、ドライブの脅威も増しました。それはゴール下でブロックをかわすようなテクニカルなシュートを減らすことにも繋がっています。スピードに乗ったドライブで突破すると、ヘルプディフェンダーとコンタクトすることを厭わず、シンプルなレイアップシュートに行く形を増やしたのです。力強さを前面に出したフィニッシュの徹底がフリースローアテンプトの増加にも繋がり、安定して得点を稼げるようになりました。

有望な若手が次々と出てくるものの、ボールを持って機能するハンドラータイプの選手が多い中で、ブリッジスは貴重な若手ウイングであることもポイントです。身体を張ったインサイドプレーと、速攻の先頭を走る運動量で、ヘイワードやラメロのパスによって『使われる』タイプとしても機能しているだけに、オールスターゲームに新たな風を吹かせてほしい選手です。